新・ことば事情
4068「スナメリ死亡」
暑いです。梅雨明け間近です。きのう(7月15日)会社の近くで、この夏初めてセミが鳴いているのを聞きました。夏です。
暑いと体調を崩すことも。人間だけではありません。動物も。
そこで「スナメリ」です。
大阪の水族館「海遊館」のスナメリ「クリン」君が、突然体調を崩し、死にました。生前、彼とは、私は面識はありませんでしたが・・・。それを報じた7月16日朝日新聞朝刊の見出しは、
『スナメリ「クリン」突然の別れ~海遊館』
というふうに、
「突然の別れ」
という表現を使っていましたが、本文の方は、
「スナメリのクリン(オス、2歳)が15日、死亡した」
「同日午後に死亡した」
というように、「死んだ」ではなく、「人間」と同じように、
「死亡した」
を使っていました。このニュースを扱っていた他の新聞では、
<読売>
(見出し)海遊館スナメリ「クリン」死ぬ~おじぎのしぐさ人気
(本文)死んだ。
<産経>
(見出し)「海遊館」人気者スナメリ天国へ」
(本文)死んだ。
で「死亡」は使っていませんでした。(毎日、日経では、記事が載っていなかったか見逃したかで、わかりませんでした。)
この動物の「死亡」に関しては、
「平成ことば事情136海くん、死亡」
「平成ことば事情271犬、死亡」
「平成ことば事情489死亡牛・廃用牛」
もお読み下さい。
(追記)
2011年1月18日の朝刊に、福岡市動物園で飼育していた国内最高齢の西ローランドゴリラ「ウイリー」が死んだという記事が出ていました。推定年齢は45~47歳、人間なら80歳代に当たるということです。その記事の見出しは、
「国内最高齢ゴリラ 天国へ」(読売)
「国内最高齢ゴリラ天国へ~トップの座は短命でした」(産経)
「国内最高齢ゴリラ逝く~福岡『ウイリー』推定45歳以上」(朝日)
で、読売と産経は全く同じ大文字の見出し文字。産経の「トップの座は短命でした」というのは、去年12月に名古屋・東山動物園の53歳のゴリラが死に、ウイリーは国内最高齢になったばかりだったから、ということです。合掌。