新・ことば事情
4067「福岡県で生誕」
劇作家のつかこうへいさんが亡くなりました。その訃報を伝えるニュースで、つかさんの軌跡をたどっていたら、こんな言葉が出てきました。
「福岡県で生誕」
え?「生誕」・・・「生誕」はオーバーじゃないか、ここはやはり、
「福岡県で誕生」
でしょう。たしかに「生誕」と「誕生」は、漢字が入れ代わっていても「同じ意味」です。しかし、この言葉を、
「誰に使うか?」
という点では違いがあります。「誕生」は誰にでも使えますが、「生誕」は、
「歴史的な偉人(=完全に過去の人)」
にしか使えません。つかさんは、もちろん偉人ですけど、まだちょっと過去の人になるには早い。そう感じて国語辞典を引いてみたのですが、あまりそういうふうには書かれてはいませんでした。調べた中では、『明鏡国語辞典』が、
「ふつう偉人などについて使う」
『岩波国語辞典』には、
「多く、偉人などについて言う」
と書かれていました。たしかにふつうは、
「山田君の所に、女の子が"生誕"したそうだよ」
とは言いませんもんね。
コメント
生誕と誕生についてネット検索中、jumpして参りました。
記事、参考に致します。ありがとうございました。
投稿者: kitayamasugi 日時:2010年08月12日(木) at 03:56