新・ことば事情
4066「栄養ドリンクかユンケルか」
酒気帯び運転容疑で逮捕された武庫川女子大学の教授が、警察の調べに対して、
「栄養ドリンク『ユンケル』を40本飲んだが、酒は飲んでいない」
と容疑を否認していた事件が昨日(7月14日)の新聞に載っていましたが、けさ(7月15日)の朝刊を見ると、
「栄養ドリンク『ユンケル』は10本飲んだが、缶ビール(350ミリリットル)も5本飲んだ」
と容疑を認めていると出ていました。
そうだろうな、「ユンケル」40本は飲めないだろうし・・・。
その供述の「おかしさ」にも目を引かれましたが、もう一つ気になったのは、新聞によって「飲んだもの」を示す表現が違ったことです。
朝日・産経は「栄養ドリンク」
毎日・読売は「ユンケル」
スポーツ紙は「ユンケル」(写真まで載せて40本分、という新聞も)
日経は記事が載っていませんでした。
つまり「ユンケル」という「商品名」を出すかどうか、ですね。
こういった、犯罪で捕まった人の発言の中に商品名が出てくるのは、それを販売している会社にとっては「マイナスイメージ」ですし、本当にその会社の商品が使われたかどうかも分からない場合に、その商品名を出す意味があるのか?ということもあります。なかなか難しい問題です。
「ユンケル」という商品名を出した新聞記事では、「ユンケル」の製造販売元「佐藤製薬」にも取材してそのコメントを載せていました。確かに33種類ある「ユンケル」には最高で3%のアルコール分が入っているそうです。しかし、
「1日1本という服用基準も書いてあるし、40本飲むなど想定外。普通は数本も飲むと気持ち悪くなるはずだ」
という声が載っていました。