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『道浦TIME』

新・読書日記 2010_123

『団地の時代』(原武史・重松清、新潮選書:2010、5、259

ともに「早稲田大学出身」で、ともに「1962年度生まれ」の政治思想家の原武史と、作家の重松清の対談集。原の『滝山コミューン一九七四』を読んで、「是非対談してみたい」と重松は思ったという。「鉄オタ(鉄道おたく)」の一面も持つ原だが、ここでは、自らが子ども時代に過ごした「団地」が持つ時代的な意味について(都会の郊外の団地の歴史的意味について)、内側から語っている。その一方で、地方(岡山)から80年代に東京にやって来た重松が見た「団地」のイメージなどと対比しながら、外側からも「団地」を浮き上がらせようとしている。私自身も「団地族」だったので、大変興味深い対談集だ。世代もほぼ同じだし。早稲田出身というのも同じだし。あのとき、同じキャンパスを歩いていて、すれ違ったかもしれないのだなあ、この人たちと。

団地の思想の中にも、西武型と東急型の思想の違いが見て取れ、それが現在の西武沿線と東急沿線の街の形に大いに影響を与えているというあたりも「なるほど」と納得した。

この本がなんと一冊1200円は安い!単行本だよ!今どき文庫本でも1000円ぐらいしちゃうというのに。「空間政治学」なる分野を打ちたてようとしている原の第一歩(第二歩?)のように感じる仕事。すぐに本屋に走り『滝山コミューン一九七四』を購入した。文庫本が6月に出たのだ!で、読み始めてから家の本棚を見ると・・・あれ・・・これって・・・単行本があるじゃない、『滝山コミューン一九七四』の。アチャー、また、やっちゃった。

 

 


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(2010、6、29読了)

2010年7月 7日 10:31 | コメント (0)