新・読書日記 2010_121
『日本人へ~国家と歴史篇』(塩野七生、文春新書:2010、6、20)
「リーダー篇」を読んでから、当然、続編が出るだろうと心待ちにしていましたが、ついに出た!
でも、よく考えるとこのタイトル、ちょっとヘン...というか、かなり上から目線。
「あんた、何人(なにじん)?」
と思わず聞きたくなる。司馬遼太郎の「この国」(「わが国」でも「日本」でもなく)というのに通じるところから考えると、歴史を書く人は、自分が現代日本人であることを忘れてしまう傾向があるのかもしれません。同じく「この国」という表現をよく使う朝日新聞や故・筑紫哲也氏の場合は、メディアとして中立に振る舞おうとしているうちに、当事者であることを忘れて"他人事的"になってしまったのでしょうか?
塩野さんの場合、「映画館で観客に混じって、『硫黄島からの手紙』を観た」(47ページ)という一文に、強烈な違和感が。「あんたは観客じゃないのか?」と。これが「イタリア人に混じって」なら違和感はない。それと、「混じって」じゃなくて「交じって」では?
ま、そういった「いちゃもん」はさておき、大変良い本です。(一転、褒め出す。)
「そのとおり!」と手を打ちたくなるところと、「えー、そうかなー??」というところ、ごちゃ混ぜですが、いずれにせよ、著者の一本筋の通った主張がはっきりと打ち出されているので、読んでいて心地良いです。
また、「ケイタイ」なんて表記、いまどきないよな。普通「ケータイ」だけど、「ケイタイ」表記を使うのは、やはり日本を離れて外国に住んでいるからではないかな?なんてことも思いました。とにかう、読むべし!
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