新・ことば事情
4036「パラグアイのアクセント」
2010FIFAワールドカップ、いよいよベスト8をかけた戦いが、今夜(日本時間6月29日午後11時)キックオフです。その対戦相手の国、
「パラグアイ」
のアクセントですが、テレビで聞いていると
(1)「パ\ラグアイ」(頭高)
(2)「パ/ラグ\アイ」(中高)
(3)「パ/ラ\グアイ」〔中高〕
の3通りを聞くことが出来ます。
6月28日の日本テレビの「ニュースZERO」で、サッカー解説者の北澤豪さんと日本テレビのラルフ鈴木崇アナウンサーは、
「パ\ラグアイ」
と「頭高アクセント」でした。6月30日、けさの日本テレビ『スッキリ!』に出演していたサッカー解説者の都並敏史さんや司会の加藤さん、VTRのナレーターは「頭高」の、
「パ\ラグアイ」
でした。さきほどテレビ朝日のワイドショーの男性司会者は、
「パ/ラ\グアイ」「パ/ラグ\アイ」
と2種類のアクセントを使っていました。
『NHK日本語発音アクセント辞典』と『新明解日本語アクセント辞典』によると、
(1)「パ\ラグアイ」
(2)「パ/ラグ\アイ」
の順で2種類が載っています。また、似たような南米の国名、
「ウルグアイ」
に関しては、両アクセント辞典とも、
(1)「ウ/ルグ\アイ」
(2)「ウ\ルグアイ」
の順で載っていました。「パラグアイ」と順序が逆です。これに関しては、6月27日午前0時過ぎ(26日土曜の深夜、日付は27日日曜日)にNHKの田代アナウンサーという人が、
「ウ/ル\グアイ」。
というアクセントで話していました。解説の山本昌邦さんと、鳥海貴樹アナウンサー、ゲストの市川大祐選手は、
「ウ/ルグ\アイ」
でした。
ちなみに英和辞典を引くと、アクセントは最初に来ていて、カタカナで書くと、
「パ\ラグアイ」「ウ\ルグアイ」
というようなアクセントです。両国で使われているスペイン語ではどう発音するか、西和辞典を引くと、後ろから2つ目の母音にアクセントが来るので、
「パラグ/ア\イ」「ウルグ/ア\イ」
といった感じの発音になります。
そのあたりから考えると、両国の名前は最初、英語から入ってきて、「頭高アクセント」で定着し、その後「ウルグアイ」の方が日本になじむのが早かったために、外国語(英語)の「外来語化」に伴うアクセント変化で、「中高」の「ウ/ルグ\アイ」となり、「パラグアイ」は「外来語化」が遅れたため(あまりなじみがなかった)に、英語アクセントの「頭高」が残った。その後、「英語ふうアクセントがかっこいい」ために、また海外のサッカー情報などの中で英語のアクセントが尊重され「頭高化」が進んで「ウ\ルグアイ」「パ\ラグアイ」が出てきているのではないか?と想像しますが、いかがでしょうか?
なお、今日(6月30日)の「ミヤネ屋」のゲストで、パラグアイのチームでプレーしたこともあるサッカー解説者の武田修宏さんは、
「パ/ラグ\アイ」
と言っていました。宮根さんも同じく、
「パ/ラグ\アイ」
でした。森若佐紀子アナウンサーはパネルの説明の中で、最初の2回は武田さんと同じ、
「パ/ラグ\アイ」
で、後の3回は、
「パ\ラグアイ」
と「頭高アクセント」でした。私は今日(6月29日)の「ミヤネ屋」でナレーションを読んだのですが、そこでは一貫して「頭高」の、
「パ\ラグアイ」
に統一しました。同じくナレーターの女性・中矢さんに放送前に、
「道浦さん、どっちで読みますか?」
と聞かれたので、
「どっちでもOKだけど、僕は『頭高』で読みます」
と答えたら、中矢さんは既に録音してしまったものは「中高」の、
「パ/ラグ\アイ」
でしたが、生で読む部分は、私に合わせて「頭高」の、
「パ\ラグアイ」
で読んでくださいました。ありがとうございます。
(追記)
パラグアイ戦、日本はよく戦いました。引き分けですもんね。PK戦は「時の運」です。サッカーをやっていた人は、みんな知っています。
さて、そのパラグアイ戦のTBSの中継、視聴率は関西が58、4%、占拠率は90,1%関東はなんと61,2%占拠率90,9%!ひえー。中継の中で解説の金田喜稔さんは、
「パ/ラ\グアイ」「パ/ラグ\アイ」
の2種類のアクセントを使っていました。実況の土井アナウンサーは「頭高」の、
「パ\ラグアイ」
でした。6月30日の日本テレビ『ズ-ムイン!!SUPER』で右松健太アナウンサーと中本豪記者は、
「パ/ラグ\アイ」
でした。