新・ことば事情
4033「もってるな」
6月14日、南アフリカワールドカップのカメルーン戦で決勝ゴールをあげた、日本代表のフォワード(この日は)本田圭祐選手の、試合後のインタビューでの言葉。
「もってるな、と。」
これは「もってる」の前に、
「強運」
が省略されています。「結果を出す」で「良い」が省略されているのに似ています。「(技が・体が)キレてる」にも似た言葉の使い方です。
で、けさ(6月25日)の1次リーグ第3戦・デンマーク戦。
先制点となるフリーキックで、今大会の問題の公式球「ジャブラニ」で、「無回転球」のいわゆる「ブレ球」(スローVTRでなく、生で見ていて、ボールの軌道が揺れているのがわかりました!)で直接ゴールへ放り込むと、2点目のフリーキックは、誰もが「本田本人」が蹴ると思わせておいて遠藤が蹴って、ゴール。しかも、先ほどの本田がゴール左隅に蹴り込んだのに対し、遠藤は右隅。極め付きは後半42分、ヒールを使って、自分の後ろを通して前にボールを送り込むフェイントで、デンマーク・ディフェンダーを抜き去り、シュートと思わせておいて、フリーの岡崎に、「ごっつぁんゴール」となるラスト・パスを通す・・・ここまで魅せつけられては、たしかに、
「もってるな」
と、わたしたちも思うしかない状態でした。もちろん「強運」だけでなく「実力・技術」「冷静な判断力」「フィジカルの強さ」も含めてですが。
本田本人が「(強運を)もってる、な」と言ったのは、強い自尊心もさることながら、言ってないけど「運」に限定して「持ってる」と思わせた、実は、
「謙虚さ」
ではないでしょうか。
しかも、試合後のインタビューでは、
「目標はあくまで優勝」
「(デンマーク戦の勝利は)思っていたより感動できなかった」
など、意表を衝く受け答え。
うーん、「もってるな」。
次のパラグアイ戦でも、「もっている」ことをわたしたちに示してくださいね!
コメント
本田君の「もってる」と言った言葉が「流行語」候補に上がっていると書いてあった。取り上げられるのは判るけれども、流行語は少しおかしい。昨年のWBC決勝。決勝打を打ったイチローは優勝者インタビューで
「俺ってもってるヮ・・と思った」
と言っていた。もちろんイチローが初めて使った言葉ではないが、この時のイチローによってこの言葉に「市民権」が与えられたことは疑いの余地はない。それだけにこの言葉が本田の言葉として認知されることには違和感を覚える。
投稿者: yoshi-q 日時:2010年07月01日(木) at 23:28