新・ことば事情
4032「付き人か?付け人か?」
野球賭博問題に揺れる大相撲界を巡って、6月23日の産経新聞夕刊(関西はあるんです)のトップの記事の見出しが、
「野球賭博 白鵬の付け人 聴取」
というものでした。本文の中にも、
「付け人」
と出てきましたが、私がふだん使う言葉は、
「付き人」
です。でも、「付ける」方の立場の人から言うと、
「付け人」
なのかもしれません。客観的に「付いている人」と見れば、
「付き人」
かな?「け」か?「き」か?どっちが正しいのか?と『精選版日本国語辞典』を引くと、両方載っています。
*「付け人」=(1)側近としてつけておく人。監督や保護、身の回りの世話などのためにつけてある人。付き添い。つきびと。(2)江戸時代、幕府から親藩に、また大名の本家から分家に、監督などのために付けておいた家老職。また、その職にある人。付け家老。
(3)侠客(きょうかく)などを応援する人。
用例は(1)が1771年の浄瑠璃、(2)は1739年のやはり浄瑠璃。江戸時代中期のものです。
* 「付き人」=付き添って身の回りの世話をする人。つきそい。かしずき。もりやく。
用例は1792年の人情本、そして1894(明治27)年、高山樗牛の小説『滝口入道』でした。
うーん、どっちもあるんだなあ。Google検索(6月24日)では、
「付け人」=10万3000件
{付き人}=24万1000件
でしたが、結局、翌24日の「ミヤネ屋」でも、
「付け人」
で放送しました。