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『道浦TIME』

新・ことば事情

4015「代議士」

 

会社の食堂で昼飯をかっ込んでいると、「情報ライブミヤネ屋」の芸能コーナー担当の女性ディレクターに、

「道浦さん、『代議士』とか『先生』というのは、『衆議院議員』にしか言わないんですよね?」

と聞かれました。

「そのとおり!『代議士』は『衆議院議員』にしか使わない。でも『先生』は別に誰にでも使えます」

と答えると、一緒にいた男性ディレクターが、

「ええ!そうなんですか!?知らなかった!なんで『参議院議員』は『代議士』って言わないんですかですか?」

と聞くので、

「昔(戦前)は、『衆議院』だけが民意を反映した議員、つまり選挙で選ばれた『代議』士だったんだ。『参議院(=貴族院)』は、その名のとおり貴族というか皇族や、天皇が選んだ『勅撰(ちょくせん)議員』など『非公選』だったので、戦後もその名残りで『衆議院議員』だけを『代議士』と呼ぶようだよ」

と答えたら、男性ディレクターは、

「ふーん、でも今は参議院議員も選挙で選ぶから『代議士』で、ええんとちゃうかなあ。」

と言っていました。

「だからまあ、『名残り』なんだろうね」

と言ったものの、たしかにそういう意味では「代議士」というのは古い言い方なのかなあと思いました。『精選版日本国語大辞典』では、

「(英representativeの訳語)国民の公選によって衆議院に出て、国民を代表して国政を議する人。参議院議員も国民の公選により国民を代表するが、旧制の貴族院議員に代わるものであるところから、特に衆議院議員だけをさして用いることが多い」

とのことでした。「英語の訳語」ということで、古いといっても「明治以降の言葉」なのですね。もちろん、「国会」が出来たのが「明治時代」ですので、「当然」ですが。

(2010、6、13)

2010年6月15日 09:45 | コメント (0)