新・ことば事情
4011「スパイクのアクセント」
5月17日の深夜、フジテレビのスポーツ番組を見ていたら、サッカーの中村俊輔選手がインタビューに答えていました。その中で中村選手は、「サッカーシューズ」の意味での「スパイク」のアクセントを、「平板アクセント」で、
「ス/パイク」
と3回、「中高アクセント」の、
「ス/パ\イク」
と1回言っていました。それを受けてスタジオでしゃべっていたフジテレビの女性アナウンサーは、
「ス/パ\イク」
という「中高アクセント」が3回、
「ス/パイク」
という「平板アクセント」が1回と、中村選手とはアクセントの頻度が逆でした。
外来語においては、同じ言葉でアクセントによって「違うもの」を指す場合もあります。たとえば、「ドライバー」なんて言葉は、
(1) ねじ回し
(2) 運転者
(3) 一番飛距離の出るゴルフのクラブ
と、少なくとも3種類の意味があります。アクセントで意味を2つに分けていることもありますよね。「クラブ」も、
(1) 女性をはべらせた、中高年の男性が行くお酒を飲むラウンジ。<例>銀座の高級クラブのママ
(2) 若者が音楽に合わせて踊りに行く店。<例>六本木のクラブのDJ
の違いがアクセントによって分けられています。前者は「ク\ラブ」と頭高アクセント、後者は「ク/ラブ」と平板アクセントですね。
ですから「スパイク」にも、
(1) 底にポイント(スタッド)や針が付いたスポーツ用シューズ
(2) バレーボールで、相手陣地に打ち込む攻撃。アタック。
という2つの意味があります。これを今、アクセントによって分けているか、と言うと、どうだろうな、特に分けてないんじゃないだろうか?でも、ワールドカップの期間を過ぎてどうなるか、注目です。
(追記)
遂に開幕した南アフリカワールドカップ。正式には「2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会」だそうですが。その「ポルトガル対コートジボワール」のNHKの中継を見ていたら、実況アナウンサーが、
「(選手が)ス/パイクをはきかえてる」
と、「ス/パイク」を「平板アクセント」でしゃべっていました。専門家アクセントなんでしょうかね?