新・ことば事情
4009「暴力団員か?暴力団組員か?」
5月27日の「ミヤネ屋」で、大相撲の「たまり席」(「維持員席」)のチケットが、暴力団関係者に渡っていた問題を報じました。その際に原稿の中に、
「暴力団員」「暴力団組員」「暴力団関係者」
という表現が出てきて、「その使い分けは?」と萩原アナウンサーに聞かれました。
「暴力団関係者」
の場合は、暴力団の構成員だけでなく、「準構成委員」や「元暴力団組員」など、広い意味で捉えていると分かりますが、問題は「暴力団員」と「暴力団組員」の違いです。これは難しい。どう違うのでしょうか?
結論から言うと「わからない」。もしかしたら、
「関東系の『稲川会』とか『住吉会』などは、『○○組』ではないので『組員』と呼べないから『暴力団員』では?」
とか、
「歴史的に戦後の『愚連隊』(=昭和31年の流行語)の流れを汲んで『暴力団員』という呼び方があって、その後、暴力団の組織化が進んで『暴力団○○組』というのが増えたことで『組員』が一般的になったのではないか?」
など推測の域を出ませんが、普通「暴力団組員」の略称として「組員」という言い方が定着したのではないか?と思います。
結局今回は、原稿が日本テレビからのものを参考に書いたということで、特に手を入れることはしませんでした。手入れ、なし。
Google検索(5月31日)では、
「暴力団員」=24万8000件
「暴力団組員」=8万5800件
で、以外にも「暴力団員」の方が3倍も多くネット上では使われていました。今度は「組員」と「暴力団」をキーワードにして検索すると、
「組員、暴力団」=75万3000件
でした。また、「の」で繋いで「暴力団の組員」で検索すると、
「暴力団の組員」=45万4000件
うーん、検索の仕方でずいぶん数字が違うので、ハッキリと「どっちが多い」とは言えませんねえ・・・。
また、今回名前が出てきた、
「暴力団山口組弘道会」
は、「系」を入れて、
「暴力団山口組"系"弘道会」
としましたが、5月27日の読売新聞夕刊は、
「暴力団山口組弘道会」
でした。夕刊フジは、
「山口組"系"の弘道会」
でした。これに関して暴力団関係の情報に詳しいT氏に聞いたところ、
「そりゃあ警察はその筋に詳しいですから、警察発表では、暴力団側の言い方である『山口組弘道会』というでしょうが、それは『業界用語』みたいなもんですから、ニュースで流すときは『山口組"系"弘道会』でいいんじゃないですか?極道は『系』なんて言いまへんけど」
とのことでしたので、「系」、付けましょう、ということで。