新・ことば事情
4001「種牛のアクセント」
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題のニュースで出てきた、
「種牛」
という言葉のアクセントを、私は先日の「ミヤネ屋」で、迷った挙句、
「タ/ネウシ」
と「平板アクセント」で読みましたが、5月21日の『ズームイン!!SUPER』を見ていたら、池上彰さんが、
「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)
と5回言い、
「タ/ネウシ」(平板アクセント)
と1回だけ言いました。
『NHK日本語発音アクセント辞典』に「種牛」のアクセントは載っていないのですが、『新明解国語辞典』でアクセントを見ると、
「タ/ネウシ」(平板アクセント)、「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)
の順で、両方載っていました。
5月24日夜の日本テレビ『ニュースZERO』の女性アナウンサー(松尾英里子さん?鈴江アナじゃない方)は、
「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)
で読んでいました。『ミヤネ屋』の森若アナウンサーも、
「タ/ネ\ウシ」(中高アクセント)
ですねと話していました。
『関西情報ネットten!』の三浦アナウンサーにもトイレでコソッと聞いたところ(別にコソッとトイレで聞く必要はなかったんだけど、たまたまトイレで一緒になったので)、彼は、
「ああ・・・平板の『タ/ネウシ』ですかねえ・・・でもボクは中高の『タ/ネ\ウシ』で読んでいたような気がします。でもほら、馬の場合は、平板で『タ/ネウマ』でしょ?中高の『タ/ネ\ウマ』とは言わないですからねえ・・・ま、馬は『種牡馬(しゅぼば)』と言えば済みますが」
とのことでした。
たしかに「種馬」は「タ/ネウマ」(平板アクセント)しかありませんね。と思ってはみたものの、一応『NHK日本語発音アクセント辞典』を引くと、なんと、
「タ/ネウマ、タ/ネ\ウマ」
と2種類、載っているではありませんか!『新明解国語辞典』でも「平板」「中高(2音目にピーク)」の2種類載っていました。うーん、両方あるのか。
「牛」の場合、「~牛」の「~」部分には「肥育された地域名」(松阪、但馬、宮崎など)が入るので、「○○ウシ」の「ウ」の前でアクセントが下がる、下記のような形が一般的で、
「マ/ツサカ\ウシ」
「タ/ジマ\ウシ」
「ミ/ヤザキ\ウシ」
これにつられて「種牛」も、そのアクセントパターンを踏襲して、
「タ/ネ\ウシ」
となる傾向があるのではないかと感じますが、いかがでしょうか?
(2010、5、25)
(追記)
5月26日の「ミヤネ屋」では、大田良平アナウンサーと宮根さんは「中高」で、
「タ/ネ\ウシ」
ナレーション担当の萩原アナウンサーは、最初「平板」で、
「タ/ネウシ」
2回目からは「中高」の、
「タ/ネ\ウシ」
でした。