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『道浦TIME』

新・ことば事情

3994「吹雪と吹雪く」

 

(なんと20081217にほぼ書き終えて、そのままになっていて、すっかり季節が合わなくなってしまいましたが・・・。)

アナウンサー兼報道記者の野村明大君のブログ「野村明大の徒然なる道」を読んでいたら、こんなことが書かれていました。

『「吹雪という単語がありますよねぇ。「ふぶき」と読みます。吹雪が起こることを「ふぶく」といいます。「吹雪く」と書きます。と、ここで、僕は、いつも、疑問に感じているのですが。「ふぶき」と「ふぶく」どちらの単語が、先に出来たのか?と。

「吹く雪」=「ふくゆき」=「ふくゅき」=「ふぶき」

と、徐々に変遷していったとすれば、まあ、それは、わかります。

そうなると、「ふぶき」の方が、「ふぶく」よりも、先に「単語」として生まれたと考えることができそうです。そうなると、「ふぶく」というコトバは、「ふぶき」を動詞形のように使う中で生まれた可能性が高そうです。てことは、

「トラブル」転じて「トラブる」とか、「パニック」転じて「パニクる」とか、そういう言葉の生まれ方と似たような生まれ方ってことなんでしょうか????』

そこで私も考えてみました。

 

私は「吹雪」が先で「吹雪く」が後という「明大案」に賛成です。

いま、『漢和辞典に訊け!』(円満字二郎、ちくま新書)という本を読んでいるのですが、その中に、

「力む」

という言葉は、一番古く日本に伝わった漢字の音である「呉音」の発音である「リキ」(それより後に伝わった「漢音」は「リョク」に「む」が付いてできた言葉だとありますから、

「トラブる」「事故る」「サボる(サボタージュ(=ロシア語)が語源)」

などと同じ語構成なのではないでしょうか?

 

で、ここで辞書を引きます。『精選版日本国語大辞典』(=電子辞書)

「ふぶく」の用例は、11世紀はじめの「山部赤人集」にある、

「ふぶきつつ ゆきはふりつつ しかすがに かすみたなびく はるはきぬらし」

という短歌を用例としてあげています。

そして「ふぶき」を引くと、こう書かれていました。

「動詞「ふぶく(吹雪)」の連用形の名詞化」

ありゃ?動詞が先かあ!

まあ、普通は動詞が先かなあ。

(動詞) (名詞)

「歩く」→「歩き」

「読む」→「読み」

「走る」→「走り」

「眠る」→「眠り」

「張る」→「張り」

などなど、連用形の名詞化はありますね。

『広辞苑』も引いてみると、

「ふぶき」(古くは清音)

とあり、明大君が言うように、

「ふふき」←「ふくゆき」

という形のようです。

ちなみに「ふぶく」も「古くは清音」と書いてありました。

こんなところで、いかがでしょうか?

 

(2008、12、17&2010、5、20)

2010年5月20日 12:26 | コメント (1)

コメント

人間の心理ってそんな感じでしょうね。

投稿者: (・e・) 日時:2010年05月20日(木) at 14:07