新・読書日記 2010_095
『日本経済の真実~ある日、この国は破産します』(辛坊治郎・辛坊正記、幻冬舎:2010、4、25)
読売テレビ・アナウンサーの先輩(今は解説委員長)辛坊治郎の著作。たぶん5冊目かな。幻冬舎からは3冊目(共著はまだあるかも)。実のお兄さんとの共著だそうです。
シンボウさんからありがたく1冊、サイン入りで頂きました。ありがとうございます。
パラパラッと読むと、文章のところどころが赤い(桃色)字になっていて、「参考書」のような感じ。チャート式か?
50ページぐらいまで読んでの感想は・・・そこ、ここに疑問が生じてなかなか先に読み進めない。たとえば「10万本のジーンズを1000円で売ってもうかったから設備投資して30万本のジーンズを作ったら、3倍売れる」でしょうか?単価が下がって1000円では売れなくなるのが現実ではないでしょうか?過剰生産の行く末は価格競争で共倒れになっているのでは?結局、拡大再生産の行き着く先は、破綻なのでは?技術のブレークスルーがあれば、どこまでも拡大を繰り返せるということでしょうか?56ページの「預金」には「当座預金」は含まれないんですよね?国が破綻、という目安は国債の金利何パーセント?60ページ経過。郵貯の運用で国債を買っているというのを示すのには、1行だけそう書いてくれればわかるのに、なにをぐだぐだ寄り道を・・・。
それにしても、「アホ」とか「バカ」とか「ドロボー」とかいう言葉が一杯出てきて、品位に欠けます。ちゃんと冷静に読もうとしている人は、読む意欲を失ってしまう、というのがここまでの感想。と思って、ここまでの感想をシンボウさんにメールで送ったら、
「そのへんは読み飛ばせ!早く肝心のところまで進め!」
との指示。著者が言うのだから、ここから飛ばし読みします!なんだ肝心な部分は、もっと先か。
73ページの表で言うと、国債残高が一層急激に伸びているのは、平成13年以降、つまり小泉内閣からですよね。79ページ、ハイパー・インフレと、インフレ・ターゲット論との関連は?ハイパー・インフレはだめだけと、インフレ・ターゲットはOKなの?ターゲットでインフレが止まるという保証は?石油ショックの時のインフレは?
80ページ、悪性インフレは抑制できないのですね。やっぱりインフレ・ターゲットはだめだな。アルゼンチンが世界の檜舞台に立っていたかどうかは疑問ですが、ワールドカップの檜舞台には立っています。110ページ、なるほど政府の借金を減らすためのインフレ・ターゲット論なのか。やけくそやなあ。あ、下品。
と、日曜日の昼にここまで読んでいたら『たかじんのそこまで言って委員会』が始まりました。しばらく、そっちを見よう!
「委員会」終了。いやあ、盛り上がってましたなあ、原口大臣対「みんなの党」の2人。さて、本。大きな話は読ませるけど、小さな例え話になると、どうも細かい疑問が次々出てくるのは、「たとえ」が良くないのでは?石油ショック後のスタグフレーションの実体も、具体的に紹介してほしい。そうでないと言葉だけで"最悪の事態"と言われても、ピンと来ない感じ。112ページ。全体で210ページあまりの本で、第5章まであるのに、第1章が122ページも占めるのは、バランスが悪くないですか?第1章も二つか三つに分けた方が良くない?118ページの数字がたくさん出てくる辺りから、わからなくなってきました。図示してほしい。法人税は4割とわかるけど、利息が3万の根拠は?配当が利息と同じなのはなぜ?手取り分を確保するために配当を減らせばいいのでは?設定の根拠がわかりません。
第2章突入!戦時中は、国民の物欲を押さえたからハイパー・インフレにならなかった?戦時中はそもそも「自由主義経済」ではなく「統制経済」だったので、比較にならないのでは?
145ページあたり。たとえ話がありえないシチュエーションなので、頭に入って来にくい。データを読み取る力と、データを疑う力が必要ですね。小泉が政権取る前、小渕政権でミニITバブルで上がった株価は、森そして小泉政権でも2年間下がり続け、2年後にようやく底を打って上がり始め、2006年にようやく小泉首相就任時の株価に戻したにすぎないと見ていたのですが。162ページのGDP成長率のグラフが2001年からになっていますが、橋本のあとの小渕内閣の時の数字はどうなんですか?下がってたんですか?結局、そこだけカンフル剤のように景気を数年間、良くできたとしとも、そのあと何十年も苦しむ種(禍根)を残したとしたら、そのやり方はまずいのではないでしょうか?何十年かどうかはまだ経ってないからしらんけど、少なくともすでに4年近くはそうなってる。(その意味では民主党の子ども手当は、やはり財政に禍根を残しますね)ここに挙げられたデータの、前のデータも調べて検証しないと、一概には断定できないなと感じます。ジニ係数の左の目盛りも、「0、38~0、41」の部分しかないし、他国との比較も見ないと。小泉改革に反対するのはすべて守旧派、というわけではありません。郵政改革も、ひっくるめ方が悪い面があったけど、ポリシーは正しいのでしょう。
フー、読み終えた。
読後感、第1章がかったるい。小泉改革を評価する章がキモですね。後半の方の章の主張は概ね納得です。ところで、けさの放送でもシンボウさん、ギリシャ経済破綻を紹介するときに「コラ!」と言ってましたが、大変下品です。せっかく良いことを言っていても、ああいう一言でぶちこわしになってしまうと感じました。視聴者が恐がって引いてしまうと思います。血圧の上がらない表現法の方が、健康のためにも良いのではないでしょうか?きのうの日経朝刊に大きな広告、出てましたな。15、5万部と。ベストセラーだなあ。まだ「紙の本」をちゃんと買う人たちがいるんだなと感じました。
コメント
世界的に見て、資本主義の限界を表す「護送船団方式」「マイ・ルール発動」「ブロック経済化」が進行しているのだから、日本も過去のやり方、考え方を復活すべき。
辛坊さんはこう言っておられるのかな???
環日本海構想・・・・。 うへへ
投稿者: (・e・) 日時:2010年05月15日(土) at 11:49