新・読書日記 2010_094
『表現の自由と第三者機関~透明性と説明責任のために』(清水英夫、小学館101新書:2009、8、8)
読みやすい。勉強になる。
BPOの前身、BRO・BRC時代から、放送と表現の自由に関して「第三者の立場」から関わってきた第一人者である清水英夫氏。本書の冒頭「序に代えて~表現の自由の落とし穴」で、「メディアはなぜ間違いを犯すのか」という原因をまとめている。それによると、
(1) 傲慢さ(謙虚さの欠如)
(2) ジャーナリストとしての不勉強、経験不足
(3) 予断・思い込み
(4) 過剰な視聴者サービス
(5) 過剰な自己防衛
の5つを挙げている。そのとおりだと思う。そして、
「本来メディアは権力の乱用や横暴から国民を守るという責務を負っている。しかし、その基本姿勢が曖昧になっているところに、国民は気付いている。」
「どうしたらメディアやジャーナリストは、信頼を得ることができるのだろうか。それは、メディアやジャーナリストが、真に市民の立場に立つこと以外考えられない。そのためには、閉鎖性を破って開かれたものにすること、自らの権力性(社会的影響力)を自覚するとともに、反権力・非権力に徹すること、そして驕りを捨てて謙虚な態度で取材や報道に臨むことであると思われる」(162ページ)
ということを肝に銘じる必要があると思う。
メディア関係者には☆4つ半。
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