新・ことば事情
3938「『たちあがれ日本』のアクセント」
NHKの原田邦博さんから、平沼赳夫さん・与謝野馨さんらが立ち上げた新党、
「たちあがれ日本」
のアクセントに関して、こんなメールをもらいました。
「平均年齢およそ70歳の新党『たちあがれ日本(にっぽん)』ですが、最近、ある民放で、『たちあがれ・日本』
と、2語で読んでいるアナウンスを聞きました。
『立ち上がる』のアクセントには『平板』と『中高』がありますが、いずれにしても1語になれば、
『タ/チアガレニッポ\ン』
となります。それを『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』と2語に分けていたのです。
仮に2語でも、『平板』なら、『タチアガレ・ニ/ッポ\ン』となり、違和感はないでしょう。『新党日本』は『シ\ントー・ニ/ッポ\ン』と2語にならざるをえないでしょうが、『たちあがれ日本』は1語のほうがいいのではと感じました。」
私は、こう返事のメールを打ちました。
「これに関しては、名称が決まった瞬間(私がまだそのニュース知らない間)から、あるアナウンサーが、『2語意識』の
『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』
なのか、『1語意識』の
『タ/チアガレニッポ\ン』
なのか?と質問してきました。私は『2語意識』の
『タ/チアガ\レ・ニ/ッポ\ン』
だが、慣れてくれば、『1語意識』も『あり』で、今はどちらも間違いではないだろうと答えました。(ご指摘どおり、)
『立ち上がる』
のアクセントは『NHK日本語発音アクセント辞典』も、秋永先生の『新明解日本語アクセント辞典』も、
『タ/チアガル』(平板)
『タ/チアガ\ル』(中高)
の2種類が載っているので、『タ/チアガ\レ』でも良いのではないでしょうか?
また『平板』では『強調』することが出来ませんから、そのためのアクセント変化と考えることも出来るのではないでしょうか?『平板』だと、みんなの党の渡辺喜美さんが聞き間違えたように、
『立ち枯れ日本』
に聞こえてしまうおそれがあるのでは?」
そして、きょう(4月14日)のスポーツ紙に、70歳の元衆議院議員が「たちあがれ日本」に参加して、
「また平均年齢が上がっちゃった」
という見出しが出ていましたが、それを見て私が思い出した(思いついた)キャッチフレーズが、
「60、70、喜んで」
でした。
(2010、4、14)
(追記)
NHKの原田さんから「補足」です。
「理論上は『タ/チアガ\レニッポン』という1語もありえます。後半の『ニッポン』のアクセントは消失するという考え方です。『レ』で一気に落ちるのではなく、『レニッポン』で徐々に下がるというイメージです。『自由民主党』が『ジ/ユ\ウ・ミ/ンシュトー』ではなく、『ジ/ユ\ウミンシュトー』という1語になるのと同じです。(「ミンシュトー」は「平板」なので違和感は少ないでしょうが)」
とのことです。納得。