新・ことば事情
3931「『ボウガン』か?『ボーガン』か?」
4月13日、奈良公園の鹿に矢を放って殺したとして、文化財保護法違反容疑で三重県のラーメン店店主が逮捕されました。この「矢を放った武器」の表記が、各社違います。
4月13日から14日にかけての新聞記事を見ると、
(読売・時事) =ボウガン
(産経) =矢
(朝日・毎日) =ボーガン(洋弓銃)
(日経・日刊・報知)=ボーガン
でした。
読売テレビは最初、
「ボウガン」
としましたが、第2報からは、
「クロスボウ」
としました。報道のS記者によると、「ボウガン」は「ボウガン社」の登録商標なのだそうです。使ってもいいそうですが。しかも今回逮捕された男が使ったのは、「ボウガン社のものではない」ということが分かったそうなので、そのような措置を取ったとのこと。
テレビ各社の知り合いに聞いたところでは、
(MBS)=「ボーガン」
(NHK)=「洋式の弓であるボーガン(表記は不明:音だけ)」
~「ボウガン」は和製英語で、本来は「クロスボウ」。以前登録商標だったという説があるが、確認できない。企業名や団体名であることは事実です。NHKではわかりやすさから「ボーガン」を使用している。「洋式の弓の"ボーガン"」などと説明して使っている。表記は実際の発音に合わせて「ー」にしている。
(ABC)=ABCの原稿を検索した限り「ボーガン」というのがあった。(それで放送したかどうかの確信はないが。)しかし、英語でbowなら「ボウ」だと思うので「ボウガン」の方が良いのではないか。ただ、株式会社ボウガンが商標登録しているものなので、これも微妙。
ということでした。
個人的には「ボー」とすると「棒」みたいで、二重母音部分を「ウ」で記す「ボウ」と書きそうな気もするのですが、「虹」の英語、
「レインボー」
の最後の「ボー」は「bow=弓」の意味。その表記は、「レインボウ」ではなく「レインボー」ですから、この場合も「ボウ」ではなく「ボー」で良いような気がします。
ネット上ではGoogle検索によると(4月19日)、
「ボーガン」 =38万4000件
「ボウガン」 =55万4000件
「クロスボウ」=16万7000件
「クロスボー」= 6万7200件
でした。