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『道浦TIME』

新・ことば事情

3914「若林氏、あきれた声」

 

参議院で、他人(隣席の青木幹雄議員)のボタンまで押してしまった若林・元農水大臣。

確かに私達が大学の頃(30年近く前)は、授業(講義)の出欠を取る際に、友達の代わりに返事をする、

「代返」

というのがありましたが、「国会」の場での「代返」は聞いたことがありません。それが許されるなら、その人の分の議席は必要ないことになりませんか。

ところで、このニュースを伝える記者の喋りを聞いていたら、何度聞いても

「若林は」

「呼び捨て」にしているように聞こえるのです。これは、

「わかばやしし」

と、「し」が2回続くためで、2度目の「し」が聞こえにくくなっているからです。同じようなことは、大阪府にある、

「高石市」

でも起きますが、これが、

「高石氏」

だと起きません。アクセントパターンが違うからです。「高石市」は、

「高石市」=「タ/カイシ\シ」

という「し」と「し」の間にアクセントの谷が来るアクセントに対して、「高石氏」は、

「高石氏」=「タ/カ\イシシ」

アクセントの谷が「か」と「い」の間に来るので、「し」が2回続いても言いやすいのです。アクセントが下がりながら、しかも無声化の「し」音の次に、同じ「し」の音を出すのは、プロのアナウンサーでも発音しにくいです。

この記者はそのあと、

「若林の地元・長野のあきれた声です」

と言うではありませんか。これは、

「若林氏の地元・長野の人たちの『あきれた』という声です」

あるいは、

「若林氏のあきれた行動に対する地元・長野の人たちの声です」

と言うべきでしょう。「長野のあきれた声」だと、そのインタビューに応じた長野の人の意見の内容が、「あきれた内容」ということになってしまうではないですか!

ちょっと、あきれました。

(2010、4、2)

2010年4月 2日 20:07 | コメント (0)