新・ことば事情
3913「モンサンミッシェルの表記は?」
読売テレビの広報担当のKさんから質問を受けました。
「『モンサンミッシェル』のカタカナ表記は、どう書けばいいのでしょうか『=』や『・』は入れるんですか?」
「うーん、『=』は新聞や放送では使わないことになってるけど『・』はどうかなあ・・・調べておきます」
と答えて、実際調べたら、『新聞用語集』や新聞各社の用語集の「外国地名の例」には、見当たらないのです。
うーん、こまった。Google検索(3月19日)してみたら、
「モンサンミッシェル」 =33万1000件
「モンサンミシェル」 =21万5000件
「モン・サン・ミッシェル」=609万件
「モン・サン・ミシェル =309万件
でした。用語担当の各社の知り合いに、以下のようなメールを出して聞いてみました。
「フランスの観光名所で『モンサンミッシェル』というのがありますが、これの表記は、どのようにされているでしょうか?
『モンサンミッシェル』
『モンサンミシェル』
『モン・サン・ミッシェル』
『モン・サン・ミシェル』
など考えられると思いますが・・・いかがでしょうか?『=』は使わないですよね?」
さっそく、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんから、
「過去に統一したことはないようなのではっきりしないのですが、もし私が問い合わせを受けた際には、『モンサンミシェル』と答えるように思います。」
というお返事を。
そこで、その日はタイムアップ。Kさんには、
「『モンサンミシェル』でいいのではないでしょうか?調べたけど、出ていません。
いま、各社の用語委員にもメールで聞いている途中です。」
と返事したところ、Kさんも、いろいろ調べていたようで、
「お手間を取らせて申し訳ございません。代理店経由で読売新聞さんに確認したところ、読売さんでは『モンサンミシェル』とつなげての統一表記だそうです。
新聞広告用の番組内容紹介は、これに準じて『モンサンミシェル』にしようと思っております。フランス語では「Mont Saint-Michel」=「聖ミカエルの山」という意味なんですね。まだまだ知らないことばかりです。」
という返事が。すぐそのあとに、読売新聞の関根健一さんから、
「この10年の使用例を読売のデータベースで調べたところ、
『モンサンミッシェル』=5件
『モンサンミシェル』=4件
『モン・サン・ミッシェル』=4件
『モン・サン・ミシェル』=5件
でした。この程度の頻度だと、統一表記を決めるほどではないようです。
もし、サミットの会場にでもなったら別ですが。その際は政府の発表する表記を勘案して、取り決めることになります。原則をいえば、
(1)2語以上から成る地名でも『・』は使わない。
(2)つまる音『ッ』ははっきりしているもの以外は省略。
なので、『モンサンミシェル』ということになるでしょう。ただ、今のところ紙面に登場するのは、観光キャンペーンや、歴史書からの引用が多く、その場合は、当該引用元の表記を尊重した結果、割れているわけです。『山』『聖』『天使ミカエル』という語源を知ると、それぞれの間を区切りたくなってしまうのでしょうか。」
というメールが。結局、塩田さん、関根さんそして広報のKさんの意見が一致して、
「モンサンミシェル」
という表記に落ち着きそうです。皆さん、ありがとうございました。
(2010、3、23)
(追記)
その後、産経新聞の清湖口さんからもメールが届き、
「お尋ねの件ですが、産経ハンドブックでは扱っていない地名で、データベースに当たったところ、『モンサンミシェル』が最多だったものの、『モン・サン・ミシェル』『モン・サン・ミッシェル』も散見しました。「=」は使っていません。有名な観光地でもあり、統一する必要がありそうですね。」
ということでした。
コメント
ご無沙汰しております。
まさに「モンサンミシェル」の表記で悩んでいたところ、
ここへ飛来しました!
ありがとうございます。
投稿者: 光村・木塚 日時:2011年02月25日(金) at 11:49