新・読書日記 2010_079
『一勝九敗』(柳井正、新潮文庫:2006、4、12第1刷・2009、8、20第11刷・単行本は2003年11月新潮社刊)
昔、プロ野球・大洋ホエールズの監督をしていた関根潤三さんの著書に『1勝2敗の哲学』とか何とかいう本があって(=『一勝二敗の勝者論』でした)、
「1勝2敗では、絶対、優勝できへんやん!」
と思ったことがありました。
水前寺清子さんの『三百六十五歩のマーチ』の「3歩進んで2歩下がる」という歌詞を、間違って、
「3歩下がって2歩下がる」
と言った某アナウンサーのケースもそうですが、「1勝2敗」では絶対、前には進めません。
でもこの本は、あの連戦連勝のようなファーストリテイリング、つまり「ユニクロ」(私のパソコンは初め「湯に黒」と変換した)の柳井会長の著書で、「1勝2敗」どころか「1勝9敗」、勝率わずか1割という大胆なタイトル。「9勝1敗」の間違いではないか?と思いましたが。
柳井さんは、中小企業からポリシーを持って、世界と戦える企業を育て、「経営」というものを学んでいった、その中でいっぱい失敗もしている。が、「取り返しのつかない失敗」はしないようにして、新しいことに素早く取り組み、早いうちに(致命的ではない)失敗をしていくことが今後の飛躍につながると説くのですが、問題は「致命的でない失敗」ばかりをできるのかどうか・・・ですね。うまくそういうふうに出来るのであれば、失敗も進んでするでしょうが。「その1敗」が「致命的」だったら・・・と普通の人間は恐れてしまうのではないでしょうか。でも大変勉強になる1冊でした。これが438円(税別)とは安い!
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