新・読書日記 2010_082
『1Q84 BOOK3』村上春樹、新潮社:2010、4、16)
発売が4月16日、翌日に買いました。売り切れではありませんでした。クイクイ読めちゃうね。「BOOK1」と「BOOK2」では、ヤナーチェクの曲が話題になったけど、「BOOK3」でもいろんな音楽が出てきます。たとえば「シューマンの『謝肉祭』」とか、『見上げてごらん夜の星を』も出てくるけど、これは歌詞がちょっと間違っていますよ。
そのほか、村上春樹はやはりおしゃれというか、服装をかなり丁寧に描いています。
「ヨットパーカのフード」(283ページ)
「ツイードの上着にカシミアの薄手のセーター、やはりカシミアのマフラー、ウールのズボンにスエードの靴。」(296ページ)
「体操用のジャージの上下みたいなものを来て、汚いスニーカーをはいていた。」(344ページ)
など。おもしろかったのは、
「タイトルがすばらしい。白紙でも売れそう」(75ページ)
という一文。とても皮肉で辛らつな表現。そういう本、あるよねえ。また、
「雨に濡れた疥癬(かいせん)病みの、尻尾のちぎれた犬」
というのは、独特の汚い感じの表現。
「二級品のミイラのようなひからびた相貌の男」
「いかにもうまそうに吸った。セブンスターもそれくらいうまそうに吸われると本望だろうと牛河は思った」(75ページ)
というのもおもしろい表現。
「麻布の屋敷に住むその老婦人」
と、「老婦人」なんて言葉も古風ですな。なんとなく「イギリス」を感じる文章です。
え、小説の内容?それは読んでください。書くと、面白みがなくなるでしょ?
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