NHKの原田邦博さんから、メールがありました。
「私見だが、『ツイッター』は『平板アクセント』だろうと思っていたら、在京民放のアナウンサーが、『ツ/イ\ッター』という『中高アクセント』で読んでいた。確かに『さえずり』という意味の原語ではそうだが、システムとしての『ツイッター』のアクセントはどうだろうか?」
ああ!全然気付かなかった!話題の3D映画『アバター』は、頭高の「ア\バター」か、平板の「ア/バター」か気になっていましたが。私は何の気なしに、そのテレビ朝日のアナウンサーと同じく「中高アクセント」の、
「ツ/イ\ッター」
と読んでいました。「ツイッター」だけに、つい言ったあ・・・・。
『ミヤネ屋』で、前日(3月8日)に、その「ツイッター」の特集をした大田良平アナウンサーに聞いてみると、
「そりゃあ、中高の『ツ/イ\ッター』しか考えられないでしょう。『平板』は気持ち悪い。『平板』で言う人、いるんですか?」
ということ。ちょっとホッとして、
「これはもしかしたら、かなり"ばらつき"があるのではないか?」
と思い、実態調査を。まず読売テレビのアナウンス部で聞いて見ました。その結果、返事があった人を並べると、
(1) 中高「ツ/イ\ッター」=12人
道浦俊彦、大田良平、三浦隆志、山本隆弥、萩原章嘉、野村明大、尾山憲一、虎谷温子、清水健、森若佐紀子、小沢昭博、横須賀ゆきの
(2) 平板「ツ/イッター」=4人
本野大輔、林マオ、小林杏奈、川田裕美
(3) 意識して言ったことがないのでわからない=1人
植村なおみ
という結果に。でも中には、
「単独で使う場合、『中高』対応に努めていますが、正直なところ、コンパウンド以外でも『平板』処理していることが多々あります。これは、『新出ネット用語平板化の原則』に影響されているものと自己分析しています。」(萩原アナウンサー)
という意見もありました。日本テレビ系列局のアナウンサーや新聞用語懇談会放送分科会のメンバーの方にも聞いてみると、「自らもツイッター・ユーザーである」というテレビ朝日番組審査室の佐藤耕太郎さんからは、
「自分では(2)ツ/イッター(平板) で読んでいるが、まだ一般にアクセントが定着したとは言えないだろう。派生のアプリケーションには、
『ふぁぼったー』『ツイーティ』『ツイットファイヤー』『ツィートピック』
などなど、数多あり、『ツイート+○○』『ツイッ+○○』などのネーミング。新しい言葉なので、若者流に『平板』が無難かとも思えるが・・・(ユーザーは、中年層が意外と多いのだそうだ)」
という詳しいご意見を頂きました。また、フジテレビの畑農敏哉さんは、
「特に社内で議論した覚えはないので、あくまでも個人的見解として(2)の平板アクセント。」
とのことです。そのほか、朝日放送・岡元昇アナウンサー、テレビ大阪・千年屋俊幸アナウンサー、福井放送・森本茂樹アナウンサー、福岡放送・古賀之士アナウンサー、北日本放送・小林淳子アナウンサー、静岡放送の元アナウンサー・國本良博さん、山形放送・芳賀道也アナウンサーは「中高」の「ツ/イ\ッター」。福井放送・川島秀成アナウンサーも「基本的に中高」ですが、
「状況によって変えているかもしれない。例えば、主語になっているときは『中高』だが、『ツイッターやってる?』のような時は『平板』で言う人もいる。」
とのこと。テレビ岩手の柴柳二郎アナウンサーは、
「アナウンス部内で統一はしていないが、私としては現時点では『中高』で発音したいと考えている。でも近いうちに『平板』の発音が一般的になるような予感がする。その時には、どこかのタイミングで『平板』に切り替えることになるだろう。」
と、近い将来にアクセントの変更が来る予感を。TBSの柴田秀一アナウンサーは、
「若い人達は何の疑いもなく当然『平板』で言っている。『アバター』も英語では『ア』にアクセントがついているのに、『平板』。『ツイッター』は英語twitterでは『イ』にアクセントがあるので、日本語でいう『平板』ではないだろう。多分、ゆっくり言うと『中高』に近いのだろう。でも、これを使う人達が疑問を持たず『平板』だと、将来的に『平板』で落ち着くのだろうか。何でも『平板』はねぇ・・・・」
と、嘆いていらっしゃいます。
西日本放送の山口喜久一郎アナウンサーは、
「西日本放送アナウンサーの『ツイッター』のアクセントは、私を含めてアナウンサー4人が(1) ツ/イ\ッター(中高)で、(2) ツ/イッター(平板) 読みが3人いた。ちなみにツイッター利用経験者は2人おり、2人とも(2)平板読みだった。」
という西日本放送アナウンサーの実態を「ツイッター利用状況」と関連させて調べてくださいました。また、日本海テレビのベテラン・福田仁志アナウンサーは、
「弊社のアナウンサーは『中高』のアクセントだった。まだ原稿に現れたことはない」
というお返事。札幌テレビのこちらもベテラン・工藤準基アナウンサーからは、
「私は(1)の『中高アクセント』で読んでいる。若い世代は(2)の『平板』だろうか・・・。『ツイッター』つながりで、先日『ゆうばり映画祭』に足を運んだが、映画上映後の監督との質疑応答でも、『ツイッター』で寄せられる『質問』を代表して聞いていた。『つぶやき』の応用・進化と言えるのだろうか?」
という「ツイッターの進化形」のご報告、ありがとうございます。
そして、福島中央テレビ・菅佐原隆幸アナウンサーは、
「福島県内でも、若者は『平板』の『ツ/イッター』。社内でも若いスタッフは『平板』、アナウンス部でも、やはり若手アナは『平板』で話していましたが、『アクセントの確定していない外来語は、その国のアクセントに順ずる』ということで、『「中高」の「ツ/イ\ッター」でいこう!!』ということにしました。」
と、アナウンス部内で取り決めた様子を知らせてくれました。そして、テレビ信州の伊東陽司アナアウンサーからは、
「先日ニュースでツイッターの特集を放送し、そのときは(2)の『平板』だった。まだ、当社でどちらという取り決めはないが。」
とのこと。
全体を大まかに整理すると、
「若い人、『ツイッター』を実際に使っている人は(2)平板アクセントで『ツ/イッター』」
「中堅からベテラン、あるいは『ツイッター』を利用していない人は(1)中高アクセントの『ツ/イ\ッター』」
という傾向があるのではないでしょうか。「アバター」のアクセントはどうなのか、気になってきました・・・。
(2010、3、15)
(追記)
山形放送の芳賀アナウンサーが、アナウンス部で聞き取りをしてくださいました。それによると、山形放送のアナウンス部では、
「中高アクセント」=9人、「平板アクセント」=4人
だったそうです。「平板」は、若いアナでは半分に近かったということです。