新・ことば事情
3870「ワラをもすがる思い?」
報道のS君から電話です。
「ドキュメンタリーのナレーションの録音をしているのですが、『ワラをもすがる思い』でしょうか?それとも『ワラにもすがる思い』でしょうか?」
「うーん、『溺れる者はワラをもつかむ』とは言うけど・・・この場合は『ワラにもすがる思い』かなあ」
と言った時、にハッと気付きました。これは
「溺れる者はワラをもつかむ」
「ワラにもすがる思い」
という「ワラ」にまつわる2つの言い回しの「混交表現」であると!
こういう似たものが交じると、何となく正しい感じになるので、知らない間に使ってしまうおそれあり。クワバラ、クワバラ、気をつけないといけません。
ちなみに、Google検索(2月18日)では、まず「正しい」表現の一部、
「ワラをもつかむ」=34万3000件
「わらをもつかむ」=66万2000件
「ワラをも摑む」 = 59件
「わらをも摑む」 = 93件
「藁をもつかむ」 =93万8000件
「藁をも摑む」 = 6100件
次も正しい形。
「わらにもすがる」=120万0000件
「ワラにもすがる」= 77万0000件
「藁にもすがる」 =310万0000件
「わらにも縋る」 = 4万8100件
「ワラにも縋る」 = 8万5900件
「藁にも縋る」 = 65万0000件
そして「混交表現の間違い」ですが・・・・
「ワラをもすがる」= 28万4000件
「わらをもすがる」= 82万5000件
「わらをも縋る」 = 1万4900件
「ワラをも縋る」 = 9960件
「藁をもすがる」 =107万0000件
「藁をも縋る」 = 14万8000件
けっこうたくさん、間違った表現が使われているようですね・・・。
これは「ない」と思いますが、一応(2月29日検索)
「ワラにもつかむ」= 7000件
「わらにもつかむ」=1万7300件
「ワラにも摑む」 = 0件
「わらにも摑む」 = 0件
「藁にもつかむ」 =4万9000件
「藁にも摑む」 = 2件
「藁にもつかむ」と「わらにもつかむ」が、ともに「万」単位で使われているのには驚きました。
いずれにせよ「藁」も「縋る」も、「手書き」だと書けない人が多いのではないでしょうか?