新・ことば事情
3857「濃い霧に覆われて」
2月12日放送の日本テレビ『スッキリ!!』で、スポーツコメンテーターの荻原次晴さんがカナダ・バンクーバーからの中継で、
「山のほうは濃い霧に覆われていて・・・」
と話していましたが、それに違和感が。ここは、
「濃い霧に包まれて」
ではないか?と思ったのです。そこで出てきた疑問は、
「覆われて」と「包まれて」の違いは?
ということ。しばらく考えて、
「"包む"は立体的、"覆う"は平面的だなあ」
と思いつきました。
「布巾でお皿を『覆う』」
「風呂敷で花瓶を『包む』」
というような違いです。
たまたま私の席のところに来た脇浜紀子アナウンサーに聞いてみると、「『覆う』は『上の方』という感じがしますね」
とのこと。そこで、
「『大地』は雪に『覆われる』だけど『包まれる』ではない。それは『大地』が『平面的=二次元的』だからで、これが『白銀の世界』となると『立体=三次元的』なので、『包まれる』になるんじゃないかな」
と持論を披露すると、
「そうかもしれませんね」
とのことでした。
ところが、その日の産経新聞(だったかな)の夕刊の記事を見ると、「共同通信」の配信記事として、
「霧に覆われる」
という表現が使われているではないですか!びっくり!Google検索では(2月16日)
「霧に覆われる」=19万1000件
「霧に包まれる」=64万4000件
でした。「包まれる」の方が3倍以上使われていますが、「覆われる」も20万件近く使われています。ちなみに、
*「大地が雪に覆われる」 = 6420件
「大地が雪に包まれる」 = 0件
*「雪に覆われる」 =65万6000件
「雪に包まれる」 =33万7000件
*「白銀の世界に覆われる」= 1万5300件
「白銀の世界に包まれる」= 2万4500件
でした。