新・ことば事情
3844「政治とカネ」
新聞やテレビで、このところ毎日のように出てくる言葉に、
「政治とカネの問題」
があります。この場合の、
「カネ」
ですが、まず間違いなく「カタカナ」で「カネ」。漢字で「金」ではありません。そして「お」は付かない。「おカネ」ではありません。そう考えると、カタカナ表記の「カネ」は、特別な用語なのかもしれません。
文脈・意味を考えると、この「カネ」は「政治」にかかわるもので、しかもどちらかと言うと、
「後ろ暗いカネ」
ですよね。その疑惑をまとったのが「カネ」。もちろん「金」と書くと「きん」と読まれるおそれがあるから間違わないようにということも、もしかしたら少しあるかもしれませんが、それよりも「後ろ暗い特別なもの」ということを際立たせるために「カタカナ」を使っていると考えた方がいいでしょう。カタカナにはそんな効果もあったのかと、改めて思いました。
似たようなものには、
「オンナ」
があるのではないでしょうか。単に「漢字」で「女」と書くよりも、「カタカナ」にすると
「意味ありげ」
です。曰く因縁がありそうです。「金」も「女」も小学1年生が習うような簡単な漢字だからこそ、
「そうではない、簡単ではないのだよ」
ということを、(簡単な漢字を)あえて「カタカナ」で書くことで示しているような気もします。そして、
「漢字や平仮名の文章の中でカタカナは目立つ」
ということも当然あるのでしょう。漢字で書くと「一文字」ですし、埋もれてしまいますからね。
「表音文字」の「カタカナ」で書いても「意味が出てきてしまう」なんて、文字っていうのは、不思議なものですね。