新・ことば事情
3846「金正雲の表記」
<これも去年(2009年)の10月に書きかけて、なかなかきっちり向き合って書く時間がなくって、ほったらかしだったものです。>
2009年10月6日、いつものように「ミヤネ屋」の字幕スーパーのチェックをしていると、 金正日(キム・ジョンイル)の三男の「ジョンウン」氏が、「カタカナ表記だけ」だったので、
「金正雲(キム・ジョンウン)」
というふうに「漢字+カタカナのルビ」に直したところ、Wプロデューサーから、
「9月25日の夕方に日本テレビの外報デスクから、今後は暫定的に『金ジョンウン』または『キム・ジョンウン』でいくというメール連絡が来た」
と注意されました。し、知らなかった!メールが来た人と来なかった人があるみたいで、私のところには届いていませんでした・・・。変更の理由は、
「『ジョンウン』の漢字表記が定まっていないことがわかったから」
だそうで、
「今後『正雲』の表記はやめます」
ということでした。それで新聞各社の表記に注目していたら、10月8日の産経新聞、朝日新聞に
「『正雲』ハングル表記に変更」(産経)
「三男は『金ジョンウン』」(朝日)
という見出しの記事が出て、ともに、
「韓国統一省が10月7日に、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男の名前は『正雲(ジョンウン)』ではないとの見解を示した」
という内容の記事でした。「ウン」にあたるハングルの表記は複数あり、「雲」にあたる音ではなく、
「『銀』または『恩』にあたる音」
であることがわかったとのことです。
そう言えば「金正日」総書記も、当初日本では、
「金正一」
の字があてられていたこともありましたから、なかなかハングルを漢字で表記するのは難しいようです。(ハングルでとらえるのも難しいのですね)
で、朝日は8日の紙面で「おことわり」として、
「金ジョンウン」
という表記に、読売新聞は翌8日の朝刊でやはり「おことわり」を出し、同じく、
「金ジョンウン」
という表記に変えるとしています。ただ毎日新聞が10月9日に出した「おことわり」は、
「韓国政府はハングル表記の変更を発表しましたが、漢字表記は確定していないため、毎日新聞は当面『正雲』の表記を使います」
という見解です。
産経と日経は「おことわり」を見つけられなかったのですが。
毎日新聞は10月16日の「質問なるほドリ」のコーナーで、
「金正雲氏の表記を韓国政府はなぜ変えたの?」
を取り上げ、答えの見出しは、
「統一省が独自情報で判断~漢字は不明 便宜的に当て字に」
でした。
ただ、この「金ジョンウン」の表記問題が出てから、めっきり「金ジョンウン」情報が出てこなくなった気がするのは、私だけでしょうか。