新・ことば事情
3843「負けたり勝ったり」
横綱・朝青龍が2月4日、突然の引退表明。これにはさすがにびっくりしました。
あとで会見の様子をニュースで見ると、「一番思い出に残っている一番(=試合)」は、
「横綱・武蔵丸(当時)に勝った一番」
だとか。そして、「自身が横綱になってからの思い出の一番」について聞かれた朝青龍は、こう答えました。
「負けたり勝ったり。まだありません。」
横綱になってからの思い出の一番がないまま、引退しました。この一言を聞いて、私がすぐに思い浮かべたのは、ある小話。
「関取、お疲れ様です!」
「ごっつあんです」
「どうですか、今場所の取り組みは?」
「まあまあで、ごわす」
「成績は、いかがですか?」
「勝ったり負けたりで、ごわす」
「ほほう、そうすると大体、五分の星で?」
「いんや、相手が勝ったり、わしが負けたり・・・」
というものですけど。まさか朝青龍は、そういう意味の「負けたり勝ったり」ではないでしょうね。おっと、いま「かったり」とキーボードを打って変換したら、
「買ったり」
になったぞ。大変な誤変換だ、危ない危ない。