新・ことば事情
3835「輝いた」
「ミヤネ屋」に出演している大田良平アナウンサーと報道フロアで会ったときに、彼が立ち止まり、私を見つめています。「あ、告白されるのか?」と、息を詰めて緊張していると、彼がおもむろに、こう言いました。
「道浦さん・・・最近、とっても気になる言葉があるんですけど・・・『輝けるのか?』とか『輝く』という言葉を、やたらスポーツ中継などで耳にして、それが耳に付いて仕方がないんです!」
あ、そういう告白か。ホッ。
「ああ、そう言われれば耳にする気がするなあ。『オリンピックの舞台で輝けるのか!?』とか、そういうヤツだろ。」
「そうです」
「輝く、だから金メダルとかと関連あるのかな。オリンピック関連だけで耳にするの?」
「いえ、それ以外でも使ってますね。やたら耳にします」
そうだとすると、「メダル」とは直結しない。輝く・・・つまり「星」と関連?「星」、つまり「スター」かな。うーん、「ゆとり教育」でも、先生が使っていそう。
「クラスのみんなは運動会で輝いていました」
とか、そういう感じで。「いぶし銀」だとどうなんでしょうね?「輝き」が足りないのでしょうか?「金ピカ」でないとダメですかね?世相が暗いからこそ、輝きを求めているのでしょうか?
そう言えば、古いところで武田鉄矢と海援隊の『母に捧げるバラード』でも、
「輝くニッポンの星になって帰ってこい」
とお母さんが言っていたし、たしか、
「輝く!日本レコード大賞」
だし。「輝け!」でしたか?「輝く」という言葉の使い方自体は、昔からありますね。輝き、光りもんが好きだね、日本人は。でも、
「この大舞台で輝けるのか」
といった使い方は、ちょっと新しい気がします。
そう気に留めていたら、きょう(2月4日)の「情報ライブミヤネ屋」で、横綱・朝青龍引退の報を中継で伝えていた、われらが中山正敏リポーターも、
「土俵での輝きは、もう見られなくなります」
と「輝き」を使っていました。それは「汗」が光っていたのでしょうか?
コメント
お久しぶりです。かつて同級生でした、井上です。
当時から道浦さんは言葉に対する感性が抜群でしたが
こんなブログをやっていらしたとは知りませんでした。
これからたびたびお邪魔して勉強させて頂きますね。
投稿者: 井上 日時:2010年02月09日(火) at 09:50