新・ことば事情
3841 「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」
きょう、2月9日放送の「ミヤネ屋」のエンディングでご紹介した、翌10日放送予定の内容の予告は、
「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」
でした。これって
「誇大広告」
にあたるのでしょうか?わりとよくある表現で、
「誰も本当に『100倍』楽しめるとは思っていない」
でしょう。
「八百万の神」
が「800万の神」がいるわけではなく、単に、
「たくさん」
という意味であるのと同じだと考えていただければよろしいかと。でも「10倍」ではインパクトが弱い、「1000倍」だと誇張感が出すぎてウソくさい。ころあいが「100倍」なのでしょう。その意味では、
「100倍=1倍」
で、この「100倍」は外して、
「バンクーバーオリンピックを楽しむ方法」
としても実質的には何も変わりません。ま、見栄えは「少し地味」になりますが。
本当に目立つ広告・予告にするなら、私なら、
「バンクーバーオリンピックを2、3倍楽しむ方法」
なんて感じにしますね。「にー・てん・さんばい(2、3倍)」。じ。地味!
でも、「2倍」よりは少し多い、この小数点以下の「0、3倍」に、
「お得感」
がある気がしませんか?また、
「なんで小数点以下の数字なんか出すんだろ?その根拠は何だろう?」
と、興味が湧きませんか?私なら湧くんですけど。どうでしょうか?
とりあえず、あすは「100倍」楽しめる予定ですので、ご期待下さい!
(2010、2、9)
(追記)
『週刊現代』(2010年2月13日号)を読んでいて、講談社の本の広告に目が留まりました。そこには、
『サッカーを100倍楽しむための審判入門』
という本のタイトルが!やっぱり「100倍」というのはよく使われているようですね。その昔の江本孟紀さんのベストセラー、
『プロ野球を10倍楽しむ方法』
以来、ずいぶん「インフレ」になりましたが、使い方は同じですね。
ちなみに、「バンクーバーオリンピックを100倍楽しむ方法」と予告された2月10日の「ミヤネ屋」の放送の中に出てきた字幕スーパーは、なんと、
「バンクーバーオリンピックを120%楽しむ方法」
でした。あれ?「100倍」が「120%」になっている!
「120%」は「1,2倍」に過ぎません。ずいぶん小さくなっちゃったのね。でも、見た・イメージ聞いたイメージは、
「100倍=120%」
です。つまりここで大事なのは「ヒャク」という音の響きと、文字上の「100」という3ケタの数字なんですね。
ちょっとおもしろい発見でした。
大体「100倍」なのか「98倍」なのか、「10倍」なのか、誰も計ることは出来ませんからね。