新・ことば事情
3830「ラジオの天気予報」
車の中でNHKラジオの天気予報を聞いていた際に、以前も気になって昨日もやっぱり気になった表現がありました。それは、
「滋賀県南部は北西の風、琵琶湖では北西の風がやや強く・・・」
という言い方です。声に出して、言ってみてください。おかしくないですか?私はおかしいと感じました。
どこがおかしいかと言うと、
「では」
かな。「滋賀県南部」も「琵琶湖」も、同じ「北西の風」なんです。それなのに「では」を使うと、
「滋賀県南部は『北西の風』だけれど、琵琶湖の風向きは『北西ではない』風向き」
のように、私などは「期待」してしまうのです。ところが、
「北西の風」
ですよね。おんなじじゃないか!と突っ込んでいたのです、ラジオに。これは、台風などの時の交通情報の、
「欠航、または欠航を決めています」
と同じようなおかしさです。(「既に欠航したか、これから欠航することを決めています」とした方がわかりやすいし、「これまでに○便が欠航し、今後○○便が欠航することを決めています」と言えば、より分かりやすい。以前書きました。平成ことば事情1332「欠航、または欠航を決めています」をご参照下さい。)
実は、「滋賀県南部」は「北西の風」ですが、
「それほど強くない北西の風」
なんでしょうね。そして「琵琶湖」は、
「やや強い北西の風」
という違いがあるのではないか?でも「やや強く」は風速何メートルなのかが分かりません。単なる「北西の風」と「北西の風がやや強く」はどのぐらい違うんだ?普通に聞いている人は分かるのか?私は分かりません。
また、お天気の小谷キャスターか、ウエザーニュースの人に聞いてみよう!
(2010、1、25)
(追記)
お天気キャスターの小谷さんに聞きました。
「『北西の風』というときと『北西の風がやや強く』という場合は、どのくらい違うんですか?」
「単に『北西の風』という場合は平均風速8メートル未満、『やや強く』は8メートル以上だね」
「やっぱり!その2種類なんですか?」
「いや、無風に近い時は『風おだやか』、平均風速が12メートル以上の時は『風強く』、18メートル以上の時は『風非常に強く』と言うね。」
なるほど!すっきりしました。でも普通に天気予報を聞いている人は、そんな基準なんて知りませんよね。もう少し分かりやすくした方がいいような気がしました。