新・ことば事情 3828
3828「スマートフォン」
1月22日の朝刊各紙で、「アイフォーン」に対抗して、ドコモが、「アンドロイド」という名前のグーグルのOSを搭載した、
「エクスペリア」
という名前の「スマートフォン」を出すという記事が出ました。なんだかカタカナばかりで、チンプンカンプンなのですが。
この「スマートフォン」というのは、
「アイフォーンのような携帯電話の総称」
のようですが、カタカナ語(外来語?和製英語?)なので、「漢字」(=日本語)で、説明が付いています。それが二つに分かれていました。
(朝日)多機能携帯電話
(毎日)多機能携帯
(読売)高機能携帯電話
(産経)高機能携帯電話
(日経)高機能携帯電話
毎日だけ、「電話」が付いていませんでしたが、要は「多機能」派(=朝日・毎日)と「高機能」派(読売・産経・日経)に分かれたと。
同じことを言うのに「機能」が「多い」のと「高い」のは、どう違うのでしょうか?
思うに、小さな携帯電話に「多く」の機能を搭載していると言うことはつまり「高い」機能を持っているということなので、「現象」だけで言うと「多機能」、それを「評価」して言うと「高機能」ということなんでしょうね。
つまり、たくさん仕事をする人は「仕事量が多い」、そして、他の人より短時間で多くの仕事が出来る人は「能力が高い」と評価されると。そういうことなので、言いたいことは同じなんでしょうね。どちらも間違いではないと、そういうことでしょう。
ところで、「スマートフォン」というのは「普通名詞」なんですよね、きっと。
1月25日NHKのBS―1で放送していた番組で紹介していたGoogleの「ネクサス」と言うスマートフォンは、
「高機能の携帯電話」
と説明されていました。まさにそのGoogle検索(1月26日)では、
「スマートフォン」=445万件
でした。もうすっかり定着しているのでしょうか?『現代用語の基礎知識2010年版』によると(631ページ)、
「スマートフォン」=「携帯電話やPHSと携帯情報端末(PDA)を融合させた端末。原義は『賢い電話』で、日本語に意訳すれば『多機能電話・高付価値電話』等となる。(中略)欧米でのスマートフォンの発達と同時期に日本の携帯電話は独自に高機能化を進めていた。そのため日本においてスマートフォンという概念はきわめて見えにくくなっている。」
とフリーランスライターの青田孝さんが書いていました。