新・ことば事情 3818
3818「松の内って何日まで?」
1月11日の「鏡開き」が過ぎた頃に、妻にひとつ質問されました。
「ねえ、『松の内』っていつまでなの?」
「そりゃあ、本当は15日までだろ、15日は『小正月』って言うぐらいだから。」
「じゃあ、それまで、しめ飾りとか飾っておくの?」
「飾っていてもいいんじゃない?」
「ええーでも大体お店でも7日ぐらいまででしょ、飾ってるのは」
「それは、次の『セール』があるから早めにしまっているんじゃないの?」
ということで、「松の内」を辞書で引いてみました。まず、『広辞苑・第6版』は、
「15日まで、最近は7日まで」
と「15日」と「7日」を併記。「最近は7日まで」なのか!妻の主張が正しかったのかな。『新明解国語辞典』は、家にあった1985年に出た第3版でしたが、この時点ですでに
「七日まで」
と断言!そうだったのか!
会社でもうちょっと色んな辞書を引いてみました。
「元日から七日、または一五日まで」(明鏡国語辞典)
「元日から7日まで、また15日まで」(デジタル大辞泉)
「元日から七日まで。古くは十五日まで」(新潮現代国語辞典)
「半日から七日まで、あるいは十五日まで」(岩波国語辞典第7版)
「元日から七日まで。十五日までの地方もある」(三省堂国語辞典)
お、待てよ。この『三省堂国語辞典』の、
「十五日までの地方もある」
ということは、もしかしたら地域差があったのかも。上方(関西)は15日までで、東京(都会)は7日までとか。そう思って『精選版日本国語大辞典』を引いてみると、
「元日から七日までの称。古くは上方では正月一五日までをいった。」
やっぱり!そうだったのですね、上方は15日までだったんだ・・・日本も狭いようで広いなと思う瞬間ですねえ。
いまは関西もスピード化の時代になって、すっかり「都会」風になって、「松の内」は「7日まで」なんですね、きっと。
しかし、「ハッピーマンデー」で、「成人の日」が「1月15日」固定でなくなってから余計に、「松の内=15日」のイメージが薄れて、子供たちの冬休みが終わる、
「1月7日までがお正月」
というイメージになってしまった気がしますねえ・・・いいのか悪いのか、分かりませんが。で、気が付いたら「松の内」は完全に終わって、1月も下旬です。はやっ!