新・読書日記 2010_010
『大阪のことば地図』(真田信治監修、岸江信介・中井精一・鳥谷善史編著、和泉書院:2009、9、25)
大阪の言葉を取り上げて、その分布を地図でしっかりと示し、後半にはそれぞれの言葉に関する解説を載せた本。専門書(論文)ではあるが、分布地図を見るだけでも楽しい。ひとことで「大阪弁」と言っても、その狭い地域の中でもしっかりと分かれている実態が、手に取るように分かる。
取り上げた言葉は129。中でも私が気になった言葉の分布は、「おいしくない」の言い方として「まずい」と「おいしない」「うまない」「もみ(む)ない」という分布があること。私は「おいしない」を使いますね。
また「ゴキブリ」も、私の子供の頃は「あぶらむし(油虫)」と言って、大きくなってからは「ごきぶり」と言っていた気がするが、分布図を見ると、小学生の頃住んでいた「堺市」は、たしかに「あぶらむし」が、そしてそれ以降住んでいる「枚方市」は「ごきぶり」となっている。同じ大阪でも違う!
さらに「じゃんけん」のことも、「じゃんけん」「じゃんけんほい」「じゃいけん」「じっしん」「じゃっけん」「じゃっこん」「じゃっしん」「いんじゃん」「ちっちく」「ちょいちょ」「どっこい」「ほっちん」「まーか」「まんか」「あいちゃん」と15種類もの呼び名があることを、初めて知った!しかも地域で分布が違う!!
「じゃんけん」は「石拳」の「しゃくけん」が訛ってできたのではないかとか、「本拳」という遊び(二人が向き合って同時に任意の数の指を伸ばして手を出し合い、二人の伸ばした指の合計を言い当てた方が勝ちという遊び)の「二」が「二(りゃん)拳」→「じゃんけん」になったとか、また「いんじゃん」という呼び方も、本拳で、「一、二」のことを中国語で「イー、リャン」と数えることから、その「イー、リャン」→「インジャン」に変わったのではないかなどの説も解説に書かれている。おもしろいー!!
また、山形県民謡の「最上川舟歌」の掛け声で「マーカショ」と言うのがあるが、大阪府内にじゃんけんのことを「まーか」というところがある。これって関係あるのかな?
いやあ、言葉って本当におもしろいですね!