新・ことば事情 3808
「真冬並みの寒さ」
今年の冬は、気象庁の「暖冬」という予報が外れて、雪がたくさん積もる「寒い冬」になっているという記事が、新聞に出ていました。たしかに今年は、わりと寒いお正月でした。
そこで、「ミヤネ屋」のエンディングで紹介する「天気予報」の原稿に、こんな表現がよく出てきます。
「真冬並みの寒さ」
この「並み」ってちょっとおかしくないか?という質問を、N氏から受けました。つまり、
「今はもう『真冬』なのに、『真冬並み』というのはどういうことか?」
という疑問です。つまり、ここでの疑問の一つは、
「『真冬』とは、いつを指すのか」
ということ。これはやはり暦の上で言うと、二十四節季の「小寒」から「大寒」を経て「立春」になるまでの間、今年だと1月5日の「寒の入り」から、2月3日の「節分」までが「真冬」なのではないでしょうか。
そして、もう一つの疑問。「真冬並み」という表現は、
「もし今が『真冬』(という季節)なら、『真冬並み』なのは当たり前なので、『並み』を付けるのはおかしいのではないか」
ということです。ここは、
「真冬の寒さ」
という言い方で良いでしょう。そして、「『真冬』は(季節の)ある『期間』をさす」のであって、「並み」を付けて「寒さの"程度"」を表すのなら、本来は、
「『真冬の寒さ』並みの寒さ」
となるはずです。しかしこれでは、いかにもモッチャリとしているので、
「真冬(の寒さ)並みの寒さ」
という言い方が出てきたのではないでしょうか。
いずれにせよ、もしまだ「真冬の期間ではない」のにめちゃくちゃ寒い時は、
「真冬のような寒さ」
既に「真冬の期間」に入っていたら、
「真冬の寒さ」
という表現で良いものと思われますが、いかがでしょうか?
なお、6年前にも「平成ことば事情1552」で「真冬並みの寒さ」について書いていますので、読み比べてみてくださいな。