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『道浦TIME』

新・ことば事情 3773

「近赤外線」

2009年12月16日の各紙朝刊(大阪版)に、関西国際空港で15日に行われた新技術を使った爆発物検知装置の実証実験が始まったという記事が載っていました。これはペットボトルに入った内容物を、今まで以上に精密に判別できるというものだそうです。その技術に使われているのが、産経新聞によると、

「近赤外線」

なんだそうです・・・うーん、「遠赤外線」は聞いたことがあるけど「近赤外線」というのは初めて知りました。「きんせきがいせん」って読むんだろうな。聞いたことがある方の「遠赤外線」というと、「炭火」とか「こたつ」とか、「珈琲(コーヒー)の焙煎」とか、なんだかそういう分野でポカポカするあったかいものですよね。「近」はどうなんだろうか?

そもそも、目に見える可視光線は「赤から紫のグラデーション」、つまり「虹の色」で、その外側、紫の外側の目に見えない波長の光が「紫外線」、赤の外側の目に見えない光の波長の電磁波が「赤外線」ですから、「近」は、「赤」の可視光線に近い波長ということでしょうか?もしかして目の良い人間は「近赤外線」が見える?遠赤外線は見えないでしょうが。なんだかそんなものではないのかなと想像して記事を読んだのですが、同じニュースに関して読売新聞は、やはり見慣れない言葉だから「近」を外したのか、単なる、

「赤外線」

になっていました。「近い」も「遠い」も、確かにひっくくれば「赤外線」ですね。そういう判断もあるか。

Google(12月16日検索)では、

「近赤外線」  127000

「遠赤外線」=1710000

で、やはり「遠赤外線」が10倍以上使われていました。

Yahooでは、

「近赤外線」= 795000

「遠赤外線」=14400000

でした。あ、「近紫外線」「遠紫外線」というのもあるようだぞ。(そりゃ、あるか)

Google(12月16日検索)では、

「近紫外線」=16500

「遠紫外線」=20600

Yahooでは、

「近紫外線」=78900

「遠紫外線」=25600

でした。「"近"赤外線」の方が「"近"紫外線」よりも10倍ほど、よく使われていますね。

ネットのIT用語辞典」によると、「近紫外線」は、

「紫外線(UV)の中でも、約300400nmの波長を持った最長波長の紫外線のことである。紫外線は、波長によってUV-A400315nm)や UV-B315280nm)、UV-C280100nm)に分類される。この波長の違いによって、物理的作用、化学的作用、生理的作用が異なる。紫外線の中でも近紫外線は、波長が可視光線に近い分、生物に与える影響はUV-BUV-Cに比べても少ないと考えられている。」

とありました。また「赤外線(=電磁波)」は、

「波長が0、75μm(マイクロメーター)~4、0μmを『近赤外線』、4、0μm~25μmが『遠赤外線』、25μm~1000μmが『超遠赤外線』」

なんだそうです。その外側には「マイクロ波」「電波」があり、「紫外線」の外には「X線」「ガンマー線」があるようです。勉強になりました!しかし・・・

ふだん、文系とか理系とか分けて「私は文系だから分からない」などというのは嫌いですが、ひとこと、言わせて下さい。

「文系だから、よくわかんない・・・。」

                  (2009、12、16)

 

(追記)

1221日の日経新聞朝刊に、

「血管見つけ自動採血」

という見出しで、堀場製作所などが共同で開発した「自動で血管を見つけ採血する装置」を試作したという記事が載っていました。その装置は、

「近赤外線を使い血管を浮かび上がらせて20マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの誤差で針を刺す。」

もので、

「糖尿病患者が自宅で血糖値を測ったり、医療機関で検査したりするときに使うことを想定し、実用化を目指す」

とのことですが、ここに、

「近赤外線」

が出てきました。かなり 実用化に近いところで「近赤外線」、よく出てくるようですね、注意して見ていると。これからも「近赤外線」、注目です!

 

 

 

(2009、12、22)

2009年12月17日 12:00 | コメント (0)