新・ことば事情 3768
「高座のアクセント2」
円楽さんが亡くなったニュースの関連で、今年よく出てきた「落語」の言葉に、
「高座」
があります。そのアクセントですが、
(A)コ\ーザ(頭高アクセント)
(B)コ/ーザ(平板アクセント)
のどちらでしょうか?
私は、以前はBの、
「コ/ーザ」
という「平板アクセント」で読んでいました。しかし、どうやらもともとはAの、
「コ\ーザ」(頭高アクセント)
だったようです。『NHK日本語発音アクセント辞典』には「頭高アクセント」の「コ\ーザ」しか載っていません。そこで「ミヤネ屋」でも「頭高」で読むようにしましたし、各アナウンサーにも、そのように指示しました。
しかし、三省堂の『新明解日本語アクセント辞典』には、「新しいアクセント」として2番目に、
「コ/ーザ」(平板アクセント)
が載っています。どうしましょ?
先日開かれた「新聞用語懇談会・放送分科会」で、このアクセントをどうしているか、各社に聞いたところ、
*「コ\ーザ」(頭高)とする社=NHK、NTV、フジテレビ、テレビ東京
*「コ/ーザ」(平板)が多い社=TBS、ABC、KTV、テレビ大阪、ニッポン放送
というふうに分かれました。中でも注目は、MBSの委員から、
「江戸落語は『コ\ーザ』と頭高だが、上方落語は『コ/ーザ』と平板」
というふうに、関東と関西で違うのではないか?という意見が出たことでしょう。
ただ、江戸の噺家さんでも、若い人は「平板アクセント」の「コ/ーザ」を使う人もいるようで、21世紀の現在、ものすごくアクセントが揺れている言葉のようです。
『NHKアクセント辞典』の改定作業を進めているNHK放送文化研究所の委員は、
「次のアクセント辞典の改訂でも頭高の『コ\ーザ』にする」
と話してらっしゃいました。
(2009、12、11)