新・ことば事情 3761
「完食」
千葉の英国人女性の死体遺棄の容疑で捕まった市橋容疑者。逮捕から2週間絶食していたけれども、その後、急に食事を食べ出したという「ミヤネ屋」のニュース原稿で、
「完食」
という言葉が何度も出て来ました。これは「俗語」でニュースにはふさわしくないので、言い換えましたと、と担当のHアナウンサー。たしかにそうですね、「大食い選手権」あたりから出てきた「俗語」ですね、「完食」は。
ところが、辞書を引いてみると、なんと『広辞苑』第6版には載っています!
でも、『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』には載っていません。新しい言葉を素早く取り入れる『三省堂国語辞典』(第6版・2007)には載っていますが、やはり「俗語」となっていて、
「かんしょく(完食)」=(俗)(量の多い料理を)ぜんぶ食べてしまうこと。
とあって、普通の量の食事を全部食べることを「完食」と言うかどうかは、疑問です。
11月20日に9年ぶりの改訂版(第7版)が出たばかりの『岩波国語辞典』にも、「完食」は載っていて、
「かんしょく(完食)」=出された食べ物の全量や全種類を食べきること。
とあって、量が多いかどうかには(あまり)触れていません。「全種類」というのは「量も多そう」ですが。
岩波書店は「完食」がお好きなようです。
コメント
使いますね、「完食」。書かれているように、だんごタテ呑みの吉田由美さんや、赤坂さんが登場し出した『TVチャンピオン』の「大食い選手権」で定着しだしました。ちょうどその頃、娘が離乳食の時期だったのだけど、食べさせ終わると「完食!」といつも言っていた・・・16年前の事です。辞書に載っていても「当然」だと思います。
投稿者: yoshi-q 日時:2009年12月02日(水) at 22:32