新・ことば事情 3801
「新聞広告に見る季節感」
今年の紅葉は、結構遅かったような。やはり温暖化のせいでしょうか、12月に入ってからまだ「見頃」のところも多かったようですね。
ところで最近、私が気にしている「季節感を表すもの」があります。それも「紅葉」と同じように、冬になってくるとだんだん「赤く」なってくるものなんです。何か、わかりますか?タイトルに「新聞広告」って書いてあるけど、「何の」新聞広告でしょうか???
正解は、
「カニの通信販売」
の新聞広告です。
それは、11月の下旬になると、新聞紙上に目立ち始めます。最初は、
「全面広告の、上4分の1ぐらい」
のところに、カニの赤い身の写真が載ります。場合によっては、まだカラー写真でなく「白黒写真」のこともあります。下の方は、
「あったか下着」「発熱ベスト」「手軽にひとり分のお鍋」
の広告です。この「カニ」の赤い広告を見て、
「お、今年も、季節だな」
と思うわけです。今年、私がこの「赤い広告」に気づいたのは11月30日のことでした。それから気をつけて見ていると、徐々にその広告に占める面積が増える、つまり紙面が赤くなって行くのです。ついに12月9日には、紙面を3つに分けた1段目と2段目、さらに残りの段の3分の2が「カニ」になりました。つまり新聞紙全面の
「3分の2」+「3分の1×3分の2」(=9分の2)=「9分の8」
まで来ました!あと少し、「国産とらふぐ鍋セット」を駆逐すれば、全面「カニ」制覇、「冬の味覚」全開です!(フグも十分「冬の味覚」ですが。)
ところが、今年の「カニ」はそこまで勢いがないのでしょうか、12月17日には、全面の「3分の2」に、18日には「2分の1」にまで後退します。残りの半分は、
「本格ラム革ハーフコート」「ミンク鯨赤身5kg」「国産サーロインステーキ」「高級たらこ」
なかなかどうして、強敵です。どうした「カニ広告」!?不況でカニが売れないのか?それとも「カニ漁が不漁」なのか?
しかーし!ご安心下さい、21日にはまた、「4分の3」にまで巻き返しました。あとは「下4分の1」の「青森産りんご」「熊本産みかん」「北海道産男爵いも」「紀州・南高梅を使った梅干し」をやっつければいいのです。うーむ、結構、手ごわいかも。
そして、ついに12月24日・クリスマスイブ、「カニ」が全面勝利する日がやってきました!サンタがカニにやって来た!この日の産経新聞は、
「タラバ2杯とズワイ3杯で10500円」「ツメ肉2kgがお買い得」「生タラバムキ身1kg8980円」「タラバとズワイ、3kgが9800円」「姿ズワイガニ8杯、4,0kgで8980円」「どどーんと、ずわい5kg、折れ脚が8980円」
と言うことで、ついに全面、「真っ赤なカニ」の写真で埋め尽くされたのです!お待たせしました、皆さん、本格的な冬の到来です!
ま、でも、実はまだ一度も買ったことないのですがね、私は。広告で季節感を味わっています。一度買ってみるかな、カニ。