新・ことば事情 3798
「なるはや」
<もう4年以上前に書きかけてほったらかしの文章です>
あのホリエモンが、ソ連の古いロケットを使っていく、20億円ぐらいかかる個人の宇宙旅行に対して、
「宇宙旅行は『なるはや』で」
と言ったそうな。「なるトモ」ではありません。「なみはや」でもありません。
「なるべくはやく」
の略の若者言葉です。
<2005年10月18日にここまで書きました。当時、平成ことば事情2269をそのまま放置>
よく似た言葉で、
「なるへそ」
というのがありますが、これは省略語ではありません。「なるほど」のしゃれ言葉です。語感は似ています。
いずれにせよ、俗語で、あまり公の席では使わないよな、「なるはや」。ネットでは使いそうな気がするけど・・・。同じ仲間には、
「あけおめ」(=「明けましておめでとう」の略)
「ことよろ」(=「今年もよろしく」の略)
があるような気がします。ちょっと検索(Google、2009年12月29日)
「なるはや」=2万1800件
「誰も教えてくれない用語集」というサイトや、あの「オトナ語の謎ーほぼ日刊イトイ新聞」「つい口に出る『微妙』な日本語第11回」でも取り上げられているようですね。
でも、2万件あまりというのは、私が思っていたよりは、少なかったです。
一方の「なるへそ」は、
「なるへそ」=11万2000件
こちらの方が歴史があるよね、同じ俗語でも。
『三省堂国語辞典』『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『岩波国語辞典第7版』には「なるはや」は載っていませんでした。『日本俗語大辞典』には「なるへそ」は載っていましたが、「なるはや」は載っていませんでした。ちなみに「なるへそ」は、なぜ「へそ」かと言うと「なるほど」の、
「ほど」→「ほぞ」=「臍」=「へそ」
という変化だそうです。へえー、なるへそ。
『辞典<新しい日本語>』にも「なるはや」は載っていませんでした。
国語辞典に載るまで、その命脈を保つことが出来るか?・・・「なるはや」だけに「なるはや」で消えていきそうな気がしないでもありません。