新・ことば事情 3797
「人が降ってきた!」
これは「ことば事情」じゃないかもしれません。きっと違うでしょう。でも書いておきたいし、書いておいたほうが良いと思うので書きます。
先日・・・もう2週間ほど前になりますが、忘年会の帰り、夜10時ごろです。自宅の最寄の駅で電車から降りて、ホームからの階段を下りていたときのこと。
階段は、全部でおよそ50段ぐらいはあるのかな、半分のところに踊り場があります。(「踊り場」って、別に踊らないのに、なんで「踊り場」って言うんだろ?昔は踊っていたのかな?また調べておきます。)その踊り場を過ぎて、一番下まで降りた、その時!後ろから、
「ドーン、ドン。バサバサッ!」
という大きな音がしたので、振り返ると・・・何と、人が降ってきたのです!振り向いた時には、もう2度ほどバウンドして、階段の一番下のところに落ちてきました。そして、その落ちてきた人(50代後半か、60歳ぐらいの男の人)は、階段を下りていた乗客の男女2人をなぎ倒す形で、階段の下の地べたに倒れこみました。踏み外すと言うよりは、飛び降りたかの様な形なのでしょうか、頭から突っ込むように落ちてきた男の人は、ピクリとも動きません。幸い、下敷きになった人は、それほどのケガではなかったようで、すぐに立ち上がりましたが、落ちてきた人は、まぶたの上がパックリと切れて血が流れ、頭の下に直径15センチぐらいの血だまりが既に出来ています。男の人は意識がないようです。私はすぐに駅員室に走り、
「人が階段から落ちた!救急車呼んで!」
と頼みました。おずおずという感じで駅員さんが2人、来てくれました。
「大丈夫ですか?救急車呼んだからね!」
と駅員が声を掛けます。まぶたの上が切れただけでなく、口の中も切れているようで、
「ゴボッ・・・」
という感じで、口から血があふれ出します。
「これは気道の確保が必要だ、上を向いたままだと血で窒息するかも」
と頭を横に向けましたが、
「頭を打っているのに、頭を動かして良いものやらどうやら・・・」
わかりません。周囲の乗客たちも、どうしたものかと見守っています。しばらくすると、男の人は、
「うーん、うーん」
と、うなり声を上げ出しました。良かった、死んでなかった。意識があるかどうかは分からないけど、生きている。眼鏡が落ちていたので、
「これ、メガネ、あなたのですか?」
と横たわっている男の人に声を掛けると、脇に立っていた20代後半ぐらいのサラリーマン風の男性が、
「あ、それ僕のです。」
と。メガネはフレームが少し曲がっていました。そちらの方を見ると、彼もまた、まぶたの上を少し切って血がにじんでいました。下敷きになった男の人でした。
「大丈夫ですか?」
と声を掛けると「大丈夫です」との答えでした。
中に応急処置の心得のあると思える、やはり50代後半ぐらいの男性乗客が、
「声を掛け続けた方がいい。意識がなくなると、心臓が止まるかも知れないから」
とアドバイスしてくれました。駅員さんが男の人のポケットから「定期入れ」を取り出して名前を確認、みんなでその名前を呼んで、
「○○さん、大丈夫ですか?動いたらあきませんよ!もうすぐ救急車来ますからね!しっかりしいや!」
と、意識が途切れないように声を掛け続けました。
こういう時の1分は、ものすごく長い。1分が10分にも感じました。
そうして待つこと15分、ようやく救急隊員が担架を担いでやって来ました。消防署から駅までなら、普通は3分以内で来られそうな距離ですが、おそらく、こういった救助要請が各地で起きていて、人出が足りないものだと思われます。救急隊員の方が来たので、ほっとして、ようやくその場を離れました。その後、あの男の人が無事であったのかどうかは、知りません。
それ以来、駅の階段では、一番最後に壁際の手すりにつかまって降りるようにしています。みなさん、もちろん自分が落ちないように気を付けるとともに、上から(後ろから)人が降ってこないかどうか、注意された方がいいですよ。
「晴れ時々人が降るでしょう」
なんて、しゃれになりませんから。いずれにせよ、忘年会・新年会シーズンは気をつけた方がいいなと思いました。