新・読書日記 2009_197
『ハーフはなぜ才能を発揮するのか~多文化多人種時代ニッポンの未来』(山下真弥、PHP新書:2009、10、30)
最初、著者のファーストネームを「しんや」と読んで「男性」だと思っていたが、どうやら「まや」と読む女性のようである。「1982年生まれ」(27歳?)という若さのせいか、それとも「女性性」によるものか、少し全体に「やさしい」というか「ゆるい」感じのする本。たとえば、
「三カ国語を話すスリリンガル」(67ページ、114ページ)。
とあるが、これって「トリリンガル」あるいは「トライリンガル」ではないか?と思う。そのほか、インタビューをただ載せただけの感じがする・・・。三浦展のマーケティング本も、こんなイメージのものがある気がするが。それよりも「分析」が少ない感じ。
著者自身も「帰国子女」とのことだが、多くの「ハーフ」の人たちや「帰国子女」の人にインタビューした話を載せているのがメイン。
冒頭、この本では「ハーフ」のことを「ミックス」と呼ぶと宣言されてあり、「ハーフ」という言葉をめぐる歴史や当事者の意識が、簡潔に4~6ページぐらいで紹介されていて、これは参考になる。
実際には、まだ「ミックス」という言葉は日本の社会では広がってはいないが、今後はどうだろう、広がるのかな?「ハーフ」は「半分しかない」ことをイメージされて、当事者にはウケが良くないらしい。そこで出てきたのが、「半分」ではなく「2つある」という「ダブル」。しかしこれは広がらなかった。当事者の間でも「2つあるというのは、おこがましい」という意見もあったと書いてある。そうだったのか。
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