新・読書日記 2009_204
『ぼくらの頭脳の鍛え方~必読の教養書400冊』(立花隆・佐藤優、文春新書:2009、10、20第1刷・2009、10、30第2刷)
帯には「『知の巨人』と『知の怪物』が空前絶後のブックガイドを作り上げた。」という文字とともに、二人の写真が。まるで大相撲の二人の親方の取り組み前のような感じ。まさに「読書に対する横綱」同士の対戦という感じ。
300ページを超える分厚い新書だが、そのうち半分ぐらいは、両者が200冊ずつ紹介した本のガイド(合計400冊!)なので、「二人の対談部」分は、思いのほか少ない。が、中身は充実している。立花隆に関しては『ボクはこんな本を読んできた』などのブックガイドを昔読んでいるので、「もう、いいかな」と思ったのだが、この本の「肝」は、二人の対談にある。
特に佐藤優氏の話は、一読の価値がある。たとえばイスラエル軍は、不登校の高校生でゲームオタクの少年たちを集める施設を作り、そこでひたすらTVゲームをさせていると。何のためかというと「無人飛行機を操縦させる」ため。その無人飛行機で、武装組織ヒズボラの家を一軒ずつ爆撃していく・・・・リアルな感覚を持たない戦闘が展開されるというのだ。こういった「えええっ!」という話がたくさん出てくる。また、早稲田大学でも教鞭をとっている佐藤氏によると、最近の大学院では「学歴ロンダリング」というものが行われているという。これは「それほど難易度の高くない大学」を出た人が、東大や早慶などの有名大学の「大学院」に入り、最終学歴をその有名大学にする、というものらしい。大学院と聞くと、大学よりも上に位置して「難しいんだろうな」と思うが、実は最近の大学院は、大学よりも入り易かったりすることもあるらしく、最終学歴の名前ほしさに、そういった大学院に入ることを「学歴ロンダリング」と言うのだそうだ。知らなかったなあ・・・。世の中、いろいろなことが起きているということです。