新・ことば事情 3723
「たんぱく質か?タンパク質か?」
秋です。「ノーベル賞ウイーク」ですね。オバマ大統領の「ノーベル平和賞」授賞はびっくりしましたが。
去年、下村博士がノーベル化学賞を取った「緑色蛍光タンパク質」、ほら「光るクラゲ」です。その、
「タンパク質」
の表記は「カタカナ」でいいのか?それとも「平仮名」で、
「たんぱく質」
とすべきなのか?と「ミヤネ屋」のスタッフから質問を受けました。
一般的には平仮名で、
「たんぱく質」
なのですが、例外的に『学術用語集』の表記だけは、カタカナで、
「タンパク質」
なのです。今回「ミヤネ屋」に出てきたのは「学術論文の名前」ですので、カタカナの、
「タンパク質」
にしました。その翌日でしたか、今年のノーベル化学賞の受賞者が発表されていました。やはり「たんぱく質」関連の業績でした。各新聞の表記は、
(読売)リボゾーム解明の3氏~たんぱく質を作り出す「合成工場」
(朝日)「たんぱく質工場」解明
(毎日)リボソームの構造解明
(リボソームの説明の中で「たんぱく質の合成向上とも呼ばれる」と)
(産経)リボソームの構造解明
(「細胞内でタンパク質を合成する小器官リボソーム」)
(日経)「たんぱく質工場」構造解明
ということで、産経新聞がカタカナの「タンパク質」を使った以外の4社は、平仮名の「たんぱく質」でした。産経新聞は、その後の10月19日の朝刊の見出しでも、
『「タンパク質合成工場」の詳細解明』
とカタカナの「タンパク質」を用い、イギリスMRC分子生物学研究所のベンカトラマン・ラマクリシュナン博士、アメリカ・エール大学のトーマス・スタイツ教授、イスラエル・ワイツマン科学研究所のアダ・ヨナット教授(女性)の3人の業績を紹介していました。
(2009、10、19)