新・ことば事情 3718
「大酒飲みか愛飲家か」
10月6日の「ミヤネ屋」の「ヨミ斬りタイムズ」のコーナーで、産経新聞夕刊(大阪にはあるのです)の記事を紹介しました。それは、
「閉経後の女性の大酒飲みは、乳がんリスクが高い」
というものでした。その「大酒飲み」の基準というのは、
「1週間に日本酒換算で7合以上飲む人」
というのです。その場合乳ガンの発症率は、まったく飲まない人の1、74倍という記事でした。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の川瀬孝和主任研究員らの研究だそうです。この記事を紹介する前に、森若アナウンサーから疑問が。
「1週間にお酒7合飲んだら"大酒飲み"なんですか?そのぐらい飲んでしまうことはありますけど・・・」
たしかに。
「1日に7合」なら「大酒飲み」かもしれませんが、「1週間」だと、それほど「大酒」飲みという感じはしませんね。
そういう疑問を持ちつつ、後で同じ日の日経新聞夕刊に載っていた同じ内容の記事を見たら、こちらの見出しは、
「乳がんリスク 愛飲家は高い?」
というものでした。「大酒飲み」の代わりに「愛飲家」が使われていました。あ、こっちの方が、表現がいい!
「大酒飲み」には明らかに「マイナスの評価」が働いていますね。「愛飲家」はどちらかと言うと「プラスの評価」が。そういえば「愛煙家」なんて言葉もありましたね、だいぶ死語になりつつあるかもしれませんが。
もしかしたら産経の記者の人は「お酒を飲まない酒嫌いの人」で、日経の記者の人は「お酒が好きな人」だったのかもしれません。
(2009、10、15)