新・ことば事情 3710
「ガイジ」
2009年1月8日の朝日新聞朝刊「子供の声聞こえてる?未来へ」という特集記事で、
「ガイジ」
という呼び方があると書かれていました。
「障害児」
のことだそうです。初めて耳に(目に)しました。もちろん正式な言い方ではありません。頭の「ショウ」を略したこういった略語は、差別的な言葉、侮蔑語、隠語として使われることが多い略し方です。しかも子どもたちはこの言葉を、障害のある子どもに対して言うのではなく、
「人と違ったり、変だったりする子」
に対して使うのだそうです・・・。
「ひどいと思うけど注意できない。自分が言われてしまいそうで・・・」
という中学1年生の女子の声が紹介されています。
「勇気を持って、注意しよう!」
というのは簡単ですが、なかなかそんな勇気を出せない気持ちも、よくわかります。
「で!どうする」
という解決策のまとめで高橋美佐子さん(記者?)は、
「教育現場に今、『死ね!』という言葉が氾濫している。『ガイジ』には揶揄のニュアンスも含まれ、発する側の罪悪感は乏しい。受けとめる側によっても、言葉の意味は軽くなったり重くなったり。だが教室の片隅で、病気や障害などリアルな『死』を身近に感じる子が、身を固くして聞いている。(中略)子どもの言動を注意する前に、まず大人のわたしたちが『おかしい』と伝える勇気を持とう。子どもの社会は大人のそれを投影している。」
そうなんです、子どもの社会は、大人の社会の空気を敏感に感じて投影されているんです。「空気を読む」のは、「大勢(たいせい)の空気を読む」ことよりも「弱い立場の人たちの空気を読む」でなければ、「"魔女"狩り」になってしまう。
先日見た、劇団四季のミュージカル『ウィキッド』は、「悪い魔女」の"ウィキッド"の物語ですが、「悪い」「良い」は誰が、何のために決めるのか?そして必ずそういった「悪い」立場のもの、憎しみの対象=スケープゴートを求める傾向が、人間にはあること、その中で どう生きていけばいいのか、どう生きていくべきかを考えさせられる、大変興味深いミュージカルでした。是非一度ご覧下さい。少し、話がそれてしまいましたが・・・。
(2009.10、14)