新・読書日記
2009_130
『朝鮮半島「核」外交』(重村智計、講談社現代新書:2006、12、20)
この本が出たのは3年前。そう、ちょうど前回の北朝鮮がミサイルを発射した直後である。そして今年4月、そして7月と、また北朝鮮はミサイルを発射した。
どういう条件の下で、なぜ、北朝鮮は「核」を「見せ金」にしてミサイルを撃つのか?そういった背景について、北朝鮮問題の第一人者である重村教授が記して
いる本。興味深い。去年だったか、金総書記の影武者の話などが記された重村先生の本を読んだ時は、なんだか、とりとめもなくて、まとまりがないなと感じた
が、この本はそういうことはなかった。北朝鮮問題を考える上で一番の基礎となるのは、この本の最初に書いてある「恐怖と判断ミス」だと。そして、「経済制
裁」は、われわれが思っている以上の効果を発揮することなど、詳しく記してある。
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2009、7、13読了
2009年7月30日 18:00
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新・読書日記
2009_129
『正社員が没落する~「貧困スパイラル」を止めろ!』(堤未果・湯浅誠、角川ONEテーマ21:2009、3、10)
読んでから1か月たつけど、この本もなかなか感想を書こうという気が起きなかった。書くからには、しっかり書こうと思っているうちに、後回しになってしまったこともあるが。
「溜め」がなくなった「すべり台社会」で、「貧困スパイラル」に落ち込むことをどうやったら止められるのか?うーん、難しい・・・。湯浅さんと堤さんの対談が中心のこの本の中で、読んでいて一番ショッキングだったのは、堤さんも「9・11の次にショック」と言っていた「ペプシのペットボトルウォーター事件」。ここには書けないぐらいショッキングなので、
「え!一体何がショッキングなの?」
と気になる方は、本書をお読み下さい。210ページあたりです。そんなことってあるの!?
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2009、6、8読了
2009年7月30日 17:59
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新・読書日記
2009_128
『新聞・TVが消える日』(猪熊建夫、集英社新書:2009、2、22)
読み終わってから3か月も感想をかけなかったのはなぜだろう?内容がショッキングだったから?いやそういうわけでも。第1章はテレビ、第2章は新聞、第3 章はネットの音楽市場、そして第4章はゲーム産業と、関連のありそうな「コンテンツ産業」を取り上げているのだが、私としてはやはり「テレビ」の将来を1 冊詳しく書いてほしかった気がして・・・。それが4分の1しか触れられてないように感じて物足りなく思ったからではないかな。もちろん、そういう狭い視野ではダメなんだろうけど。コンテンツは全部融合していくということでしょうから。
印象に残ったのは、第4章の中に出てきた任天堂の宮本茂専務。『タイム誌』の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたそうだ。
「宮本茂さんといえば、ゲーム・ファンやゲーム業界の間でカリスマ視されている人物だ。」
「ゲームソフトのクリエーターの間で宮本茂さんは『ゲーム界の魔術師』と偶像視されるようになった。」
という記述を読んで、「へエー、そうなのか」と初めて知った次第。勉強不足です。
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2009、4、14読了
2009年7月30日 17:58
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新・読書日記
2009_127
『ルパンの消息』(横山秀夫、光文社文庫、2009、4、20)
2005年5月に単行本、そして今回、文庫本が出て初めて読んだ。
友人のY君から「横山秀夫マニアの道浦なら、読んでると思うけど」といわれたが、私は別に横山秀夫の熱心な読者ではないのだが・・。でも読んでみた。横山のデビュー前に書かれたものだというが、それなりに(と言うと失礼)おもしろかった。
「急げ」「ああ」「早く」「うん」(130ページ)のリズムがよい!
学生時代の「ルパン計画」とは何か?また時効が24時間後に迫った中でのナゾの究明は『24(トゥエンティ・フォー)』と発想的には同じ。(と言いつつ『24』を観ていないのだが。)スリルがある。おそらくいろいろなトリックは、よく考えると「本当は、無理」というものもあるだろうが、一種の"青春もの"として読ませてしまうところがあった。
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2009、6、7読了
2009年7月30日 17:57
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新・読書日記
2009_126
『人生問題集』(春日武彦・穂村弘、角川書店:2009、3、31)
なんか、「角川書店」というより「岩波書店」のような装丁。中身がやや軽いのは「角川書店」か?でも、わかるようでわからない難解さもあって、やっぱり「岩波書店」か。
対談集。春日と言ってもオードリーではない。精神科医で作家、大学教授。でも、なんか変な人。穂村さんは、最近時々名前を耳に(目に)するけど、結構、毀誉褒貶が激しい感じか?歌人です。二人が愛・友情・努力・不安・言葉など哲学的かつ普遍的なテーマについて「マジ」(かな?)トークしてる。気心の知れた二人のトークは独特でおもしろく、かなり"浮世離れ"してます。
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2009、7、7読了
2009年7月30日 17:56
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新・読書日記
2009_125
『儒教と負け犬』(酒井順子、講談社:2009、6、30)
2003年にベストセラー『負け犬の遠吠え』を出して、世の30代女性に一大ブームを巻き起こした酒井順子さんが、再び吠えた!
前回の「負け犬」の条件=「30代、未婚、子どもなし」というところから「年齢だけが40代にシフト」した酒井さんはなんと、こういった「負け犬」になるのは「儒教」が原因ではないか!?と考え、同じ東アジアの儒教の影響を受けているであろう三国=日本・韓国(ソウル)・中国(上海)を訪れ、それぞれの土地の「勝ち犬&負け犬」と語り合うことで、「負け犬とは何か?」を探ろうとした。まさに意欲作!
「負け犬気質」というよりは、日本・韓国・中国の女性の"ホンネ"が垣間見え、国による違いが興味深い。男性が読んでもとてもおもしろい一冊となりました。単なるコラムの一冊ではなく、「調査報道」的な一冊です。
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2009、7、16読了
2009年7月30日 17:55
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新・読書日記
2009_124
『差別と日本人』(野中広務・辛淑玉、角川Oneテーマ21、6、10)
話を引っ張るのは辛淑玉さん。野中さんはゲストという位置づけと感じた。対談の企画も辛さん側が立てたのではないかな。それに引っ張り出された感じの野中さん。在日朝鮮人と被差別部落(同和地区)出身という、「差別される側」で戦ってきた二人だが、野中さんは自民党の幹事長という、日本の政界の中枢まで昇り詰めた人。その立場で、何が出来て何が出来なかったか。そのあたりの話に興味があった。あとは、読むべし。
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2009、6、29読了
2009年7月30日 17:54
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新・読書日記
2009_122
『1Q84(イチ・キュウ・ハチ・ヨン)BOOK 1』 (村上春樹、新潮社:2009、5、30初版、2009、6、22第7刷)
話題の本。村上春樹は、『ノルウェーの森』までは、ほとんど全部読んでいたが、その後は『ねじまき鳥クロニクル』を最後に、読んでいなかった。『アンダーグラウンド』も『海辺のカフカ』も買ったけど「まだ」全部は読んでいない。読みかけて中座している。しかしこの本は「読もう」と思った。
というのも私が大学を卒業して会社に入ったのが、正に「1984年」だから。そして「ゼミ論文」として大学に提出したのが、『「1984年」1984年』というタイトルの、ジョージ・オーウェルの『1984』と実際の「1984年」という時代を比較したものだったから。「1984年」という年号には"特別な思い入れ"があったからだ。
物語は上巻・下巻ともに500ページもある分厚さだが、息をも継がせぬ物語性はさすが。主人公の女性「青豆」と、同じく主人公の男性「天吾」の2人が、短い章立てで交互に出てくるのも、読みやすさにつながっているかもしれない。「天吾」という名前は、もしかしたら、関西弁の「いたずら」の意味の「てんご」に通じ、スペイン語の「持っている」という意味の「tengo」にもつながるのか?
結局「純愛」と「宗教」、人間の「幸せ」とは?といった、いくつかの大きなテーマを、糸のように絡ませた物語。主人公を変えることで、今流行の「スピンオフ」作品は書けるのではないか。そんな気がした。
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2009、6、23読了
2009年7月22日 16:55
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新・読書日記
2009_121
『涙の理由』(重松 清・茂木健一郎、宝島社:2009、2、21)
重松 清と茂木健一郎。年齢と体型の似た二人の対談集。「泣ける小説」の書き手の代表として重松が選ばれたらしいが、重松自身は「泣ける」「泣けた」ということに疑問を持っている、と書いてある。そうでなくっちゃ。そんなに簡単に「泣く」ことを扱ってもらっちゃ困る。対談は、結構観念的で難しいお話も多いが、要は、重松のこの発言に集約されると私は思った。
『僕は「涙は談合」だと思っている。この談合が共同体の「笑いは安心」と共通で伝播するのならば、いま、皆が流している涙は、「悲しくて泣いているのではない」感じがするのね。悲しいから泣くのではなくて、「優しさの談合」というか』
重松が意外と屈折した、人見知りをするような人だというのは意外だった。
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2009、6、11読了
2009年7月17日 19:28
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新・読書日記
2009_120
『どうしてニッポンはこんなに便利で息苦しいのか?~ドン・キホーテのピアス13』(鴻上尚史、扶桑社:2009、5、1)
週刊誌SPA!で2007年に連載されたエッセイをまとめたもの。タイトルが非常に、わたしにとっては魅力的だったので手に取った。
サブタイトルに『ドン・キホーテのピアス13』とあるように「SPA!」の連載はもう13年も続いていたんですね・・・気付かなかった。
全般に興味深くおもしろかったが、中には2割くらいは「感覚(考え方)が違うな」と思ったところもありました。でも2割が違うということは、8割は同じということで、かなり共感できた本でした。
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2009、7、1読了
2009年7月17日 19:25
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新・読書日記
2009_119
『おんなのひとりごはん』(平松洋子、筑摩書房:2009、3、20)
ちょっと変型の(?)、ちょっとだけ大きい判の本で、電車の中で読むには「どうかな...」、ということと、そもそも家でくつろいだ時に、ゆったりした気分で少しずつ(1話か2話ずつ)読みたい本だったので、休みの日に少しずつ少しずつ読んだ。で、そんなに厚い本じゃないのに、たっぷり1か月かかった。それだけ時間をかけて読みたい本。1話ごとに、出てきた「ごはん」の後味を楽しみたい、そういった感じの本だ。
働く30代(ぐらい、アラサー、アラフォー)の女性の気持ちも、分かるようになる気がする本。ということで、女性のみならず、男性にもお勧めの本ですよ。
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2009、6、27読了
2009年7月17日 19:20
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新・読書日記
2009_117
無差別殺人の精神分析』 (片田珠美、新潮選書:2009、5、25)
著者は1961年広島生まれ。著書に『こんな子どもが親を殺す』(文春新書)、『17歳のこころ』(NHKブックス)、『薬でうつは治るのか?』(洋泉社新書y)などがある。精神科医で神戸親和女子大学教授。
この本では秋葉原の事件・池袋と下関の通り魔事件・大教大池田小事件という国内の事件と、コロンバイン高校銃乱射事件・ヴァージニア工科大学銃乱射事件を、資料をもとに再構築し、それらの犯人の共通点を探り出したもの。犯人に共通していることは、自らの人生の失敗の原因を外部になすりつけていること、凶行のきっかけとして、いくつかの不運が"重なって"起きていること、大量殺人は"拡大自殺"と考えられること、また大量殺人犯人の9割以上は男であることなど、興味深い事実も記されていた。しかし、そういった分析によって、凶行が必ず防げるかというと、心許ない...。
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2009、7、11読了
2009年7月17日 14:01
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新・読書日記
2009_116
『ヤンキー文化論序説』 (五十嵐太郎、河出書房新社: 2009、3、30)
なかなかおもしろかった。ヤンキー文化に関して、17人の論者が論を披露したが、方向性は同じだったと思う。ざっと目次を見て、おもしろそうなものをいくつか先に読み、そのあと、初めから読んだ。最初に読んだのが近田春夫の『ヤンキー音楽の系譜」。1972年、矢沢永吉・キャロルの登場がその契機だと。「ヤンキー」の「や」は、「矢沢」の「や」か?また、斎藤環の『ヤンキー文化と「キャラクター」』も実に興味深い。ヤンキー文化の裾野の広さを再確認させてくれたのは、「ナンシー関」だという指摘は、新鮮だった。そして的確だった。やっぱナンシー関、すごい!リスペクトっす。
テレビもヤンキー文化と親和性が高いというのも納得。そいて、ここで名前が上がるヤンキー文化の神様たちに、ほとんど私は関心がない、好きか嫌いか以前の存在であり、なぜ人気があるかわからない。ということはすなわち、私はまったくヤンキー的ではないということを、改めて確認した次第です。仲が悪いわけではなく理解は示すけど、"他人"という感じかな。納得の一冊でした。
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2009、7、4読了
2009年7月 7日 13:55
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新・読書日記
2009_118
『鉄ちゃんアナウンサー羽川英樹の "鉄漫"関西ぶらり列車旅」(羽川英樹、扶桑社:2009、4、20)
著者は、フリーアナウンサーで「2時のワイドショー」「11PM」「24時間テレビ」などの司会も担当された元・読売テレビアナウンサー。何を隠そう(別に隠しちゃいませんが)、私の大先輩です!たくさん衣装(スーツとかセーターとか)、お下がりを頂きました。いまだに活用させていただいています!改めて、ありがとうございます!
フリーになられたのが1993年、40歳(不惑)を前にした「39歳」で、読売テレビを巣立たれました。それから16年、当時の羽川さんの年齢を大きく越えてしまった自分がおります。
さて、羽川さんが本を出すというのは、今年のお正月にいただいた年賀状で「予告」されていたのですが、ついに出たか!いや、4月に出ていたのですが、申し訳ありません羽川先輩、気付きませんでした。
そんな間の抜けた後輩の私が、大先輩の著書が出たことに気付いたのは6月になってから。行きつけの書店の、知り合いの店員さんから、
「道浦さん、羽川さんってご存じですか?」
「ご存じもなにも、もちろん知っていますよ、読売テレビのアナウンサーの先輩で、お世話になったから。」
「よく、来られるんですよ。」
「え?この本屋さんに?何をしに?」
「ご自分の本の売れ行きをチェックされに・・・」
「え!もう出たの!まだありますか?」
「はい、入り口の脇の、道浦さんの『スープのさめない距離』の本がある棚の上の方に・・・」
「1冊下さいっ!」
と買い求めたというわけ。それにしても、なぜ、羽川さんがその書店に現れるのか?もしかして、大阪の全ての書店での売れ行きをチェックしているのでは?(ない、ない・・・)とも、ちょっと思いましたが、羽川さんのお話によると、ケーブルテレビの収録で立ち寄られたんだそうです。なるほど、納得。
で、本の内容ですが、羽川さんは、まだ「てっちゃん」なんて言葉がない頃からの「鉄道マニア」。その徹底ぶりは、本書をお読みになれば、よーーーーーーーーーーーーーーく、わかります。
しかし、これは「鉄ちゃん」の本ではありません。まさに「羽川英樹」という人間の魅力がぎっしり詰まった本です。「文は人なり」ということが、この本ほど、実感できた本はありません。もちろんそれは、実物の羽川さんのことを私が知っているから言えることで、羽川さんにお会いになったことがない方は「どうなのかな・・・?」と思われるかもしれませんが、ご心配なく、その点はわたくし・道浦俊彦が「保証」致します、バンッ!(=太鼓判を押す音)
ということで、おもしろいですよ。読むだけで旅の醍醐味を感じ、「うーん、ちょっと電車に乗ってどこかに行ってみたいなあ・・・」と思うこと請け合いです。
残念ながら旅に出る時間がない方は、通勤電車に乗りながら、この本を読むことをお勧めします。好評で、既に重版がかかったそうですよ!
それにしても「男」は何かの「マニア」になることが多いですが(特に、何かを集めるマニア)、女性は「おっかけ」などを除くと、あまり「マニア」にはならないような気がするのですが、なんでやろ?
もちろん
star5
2009、6、25読了
2009年7月17日 19:16
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