新・読書日記
2009_113~115
『MW(ムウ)1~3 手塚治虫漫画全集』 (手塚治虫、講談社:1993、3、17第1刷・2008、6、27第6刷)
昭和51(1976)年9月10日号~昭和53(1978)年1月25日号まで『ビッグコミック』に連載されたもの。単行本のあとがき(昭和53年4月)に、
「従来の手塚カラーを打ち破るあっけにとられるようなピカレスクドラマを書いてみたい」
と書かれていた。たしかに、それまでの手塚マンガにないような、それまでの手塚マンガの陰の部分というか「陰画(ネガ)」のような話。実は6月30日に、
読売テレビ系列で、これを原作としたドラマを放送すると言うので、原作を読んでみたのだが、「よくこんな作品を見つけてきたなあ」と、ある意味、感心し
た。原作は、マンガとは言え、ちょっと子どもには見せられない、大人向けのもの。『ビッグコミック』に連載したというのも、当時は「大人向けマンガ雑誌」
と「子ども向け」雑誌は、割然とジャンル分けがされていたからだろう。
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2009、6、27読了
2009年6月30日 14:16
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新・読書日記
2009_112
『昭和の名人決定版11・十代目金原亭馬生 壱』 (小学館:2009、6、9)
「笠碁」「天狗裁き」「そば清」の3題。「笠碁」と「天狗裁き」は昭42年、「そば清」は昭和35年10月。初めて馬生を聞いたが、いい!「笠碁」は小さんの印象が強かったが、馬生もいい。「そば清」は、そばを食べるシーンがCDで聞いてもいいが、オチの部分で噛んでるのは、いただけない。なんとか着地。オチ自体が説明的なので、工夫の余地あり。
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2009、6、4聴了
2009年6月24日 16:39
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新・読書日記
2009_111
『漫才』 (ビートたけし、新潮社:2009、5、25)
40ページ過ぎまでは、クスクス笑いながら楽しく読んでいたが、そこからは読むのが苦痛だった。一体なんのために延々と同じような話を書いているのかがわからない。下ネタは嫌いではないが、これだけ続くと辛い、痛い。もしかしたら、これは何かの修行?普通に考えたら(本の中で、しゃれのように書いてあるように)「もう書くことはないのに、単行本一冊にまとめる分量にするために無理矢理書いた(書かされた)」とか?本人も書くのを早くやめたかったのではないか?でも、苦しみながら最後まで読み通しました。久々に、「金返せ!」と言いたい一冊。1400円のうち、1000円、返してほしい。
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2009、6、14読了
2009年6月24日 16:38
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新・読書日記
2009_109
『「日本人力」クイズ』 (清野 徹&現代言語セミナー、文春新書:2009、5、20)
日本語、特に日本文学・文壇・作家などに関する問題が140問。随分、難易度に差がある問題がバラバラと載っている。ふだんは、こういったクイズ本だと特に買わないのだが、著者の清野 徹氏は、『週刊文春』誌上でテレビ批評を続けてきた人。いつも楽しみに(文春で一番最初に)そのコラムを読んでいたのだが、今年2月、急に連載がなくなったので「おかしいな」と思ってていたら、急死されたとか。また、この本で初めて知ったが、清野氏は隻眼であったという。
著者に名前を並べている「現代言語セミナー」というのは、清野氏の奥様が主宰されているようだ。つまりこの本は、清野氏の遺言状のようなものだと思って読んだ。
で、140問題中110問正解、日本人合格でした。121点以上なら「国宝級日本人」だったのに。合掌。
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2009、6、11読了
2009年6月17日 16:35
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新・読書日記
2009_108
『越境した日本語~話者の「語り」から~』 (真田信治、和泉書院:2009、2、24)
日本の旧統治領であった台湾、ミクロネシア(南洋群島)、韓国、サハリン、中国東北部(旧満州)などには、日本が撤退してから60年以上が経っても、日本語との接触の名残がある。それらを訪ね歩き、そういった言葉を採取するフィールドワークを続ける著者が、その記録の一端を本書にまとめた。
専門書ではあるが、そこここに、一般の人が読んでも「へえー、そうだったのか!」という記述がある。たとえば、戦前の記述に「台湾内地人に『きれいく』『きれいくない』というような形容詞として活用させた誤用が使われていて、方言的地位まで得ようとしている」(1941)と紹介されているが、これは最近の若者言葉と同じ傾向である。また、朝鮮半島における日本語話者の語尾に「~でしょ」と付くのは、初対面の人に「~じゃないですか」「~やんかあ」という近年の若者言葉と同じ傾向だということなどは、新鮮な驚きでした。つまり、最近の若者言葉は昔の植民地並みなのです。これには愕然としました。
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2009、6、15読了
2009年6月17日 16:29
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新・読書日記
2009_107
『絲的サバイバル』 (絲山秋子、講談社:2009、3、26)
力抜けてるんだか、気合い入ってるんだか。帯は「四の五の言わずに外に出ろ!さぁ、七輪持って出かけよう」と、ちょっと暴力的。いろんなところでキャンプするが、講談社や友達の家の庭にテント張るのは、ちょっと・・・。そんなにキャンプが好きなの?仕事だから、エッセイを書くネタ集めのために、やっているのかな?「おうち」族で「インドア派」の私には理解できないところも。え?でも道浦さん、テニスやってるじゃないですかって?ああ、あれも「屋内コート」だもん。
栃木県では「賃貸アパート」でも「駐車場、車2台置けます」なんですって。普通の家は庭に6台ぐらい車置けるそうです。凄いなあ。アメリカみたいな車社会なのですね、栃木って。(ほんまかいな)。
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2009、5、27読了
2009年6月17日 16:28
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新・読書日記
2009_106
『「新しい郊外」の家』 (馬場正尊、太田出版:2009、1、25)
東京での生活に何か「違う」ものを感じ、湘南の海にあこがれつつも(価格が)高いのであきらめ、行き当たったのが千葉の房総。そこを拠点にダブルハウスの生活を始めた著者。建築デザイナーの本としてはそれほど目新しくないと思うところだが、この著者の家族には「ひと波乱」あったところがミソ。そういう意味では、その「波乱」がサンドイッチになっているところに、読み応えがある。
「特にデザインの領域を再定義しなければならないと強く感じていた。いわゆる可視化できる物体のデザインではなく、経験の総和のようなもの。」(190ページ)
「おそらく僕らの世代は土地や家に固執しない。所有という欲求や概念さえ少しずつ薄くなっている。それよりも過ごす時間を大切にする。誰と、どのような環境で、何を語り、何を食べるか。不可視の現象をいとおしく思う」(204ページ)
などと書かれている。著者は自分のことを「普通の人間で大衆」と言っているのだが・・・「大衆」じゃあ、ないよなあ・・・。
エッフェル塔に関する有名な言葉について、
「ロラン・バルトは『エッフェル塔』で「モーパッサンはしばしば塔のレストランで昼食をとった。とはいえ彼は塔を好きではなかった。『パリで塔が見えないのはこの場所だけだ』と彼は言ったものだ」(54ページ)
と紹介していた。へー、そうだったんだ。勉強になりました。
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2009、6、4読了
2009年6月17日 16:26
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新・読書日記
2009_105
『大阪「駅名」の謎~日本のルーツが見えてくる』 (谷川彰英、祥伝社黄金文庫:2009、4、20)
いろいろ、勉強になる一冊!たとえば、日本の国名のもとになったのは、なんと大阪府と奈良県の府県境にある生駒山のふもとの東大阪市の「日下(くさか)」というところで、ここがもともと「草香(くさか)」という名前だったが、生駒山の上から朝日が昇る、そのふもとだったので、「日の下」と書いてそのまま地名の「くさか」と読んだという。もともと「ひのもと」は「草香」にかかる枕詞だったのではないかという民俗学者・谷川健一の説を紹介していて、目からウロコが落ちた。
同じような地名の命名は、「はるひ(春日)」と書いて「かすが」、「とぶとり(飛鳥)」と書いて「あすか」、「ながたにのはつせ(泊瀬)」から「長谷」を「はせ」と読むようになったなど枚挙に暇がないと。そうだったのか!大阪の地名の難しさの背景にはこのような背景も。一読をオススメする。
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2009、5、24読了
2009年6月17日 16:25
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新・読書日記
2009_104
『ウェブはバカと暇人のもの~現場からのネット敗北宣言』 (中川淳一郎、光文社新書:2009、4、20)
著者は1973年生まれの編集者・PRプランナー。博報堂を経て、元「テレビブロス」の編集者だったという。
刺激的なタイトルだが、要は、「ブログ・SNSの内容は、一般人のどうでもいい日常を描いているだけ」「明石家さんまさんやSMAPのメンバーのような超有名人は、たぶんブログをやらない」「ネットで流行るのは結局『テレビネタ』」「ネット住人は、品行方正だが怒りっぽい」ときて、最終章は「ネットはあなたの人生を何も変えない」と。
「あくまでも情報収集や情報伝達の効率的な道具として、インターネットはすばらしいが、ただそれだけだ。それ以上のものでもなく、以下のものでもない」と、まあこんなことが書かれている。
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2009、5、4読了
2009年6月17日 16:23
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新・読書日記
2009_103
『机』 (ヒヨコ舎、アスペクト:2009、1、7)
100ページほどの薄い本。内容は、漫画家、デザイナー、イラストレーター、劇作家などクリエイティブな仕事をしている13人の仕事場の机を見せてもらい、それに対するコメントをインタビューしたもの。雑誌の特集を単行本にした感じ。気楽に写真をながめながら「へえー」と言いながら観る本ですね。13人中女性が1人しかいなかったのは、この本の読者がおそらく男性中心だからでしょう。ほら、書斎の特集とかって、男性誌の特集じゃない。女性誌で書斎の特集って見たことある?それとおんなじことだと思いました。
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2009、6、9読了
2009年6月 9日 16:21
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新・読書日記
2009_102
『なぜか、マンガになる日本語』 (いのうえさきこ、サンマーク出版:2005、9、30)
私がおととし初めて「監修」なるものを担当したマンガ『かなりあやしい!?~おかんとつっこむ微妙な日本語』(芳文社)の著者である、いのうえさきこさんの単行本。『かなりあやしい!?』を出す2年ほど前に出されたもの。トーンは同じですが、右のページがマンガで左のページは、いのうえさんの文章が。これがかなりよい!
いろいろな「ことわざ」に突っ込みを入れる姿勢は、すごい!です。
個人的には「木で鼻をくくる」「骨までしゃぶる」が、シュールというかアホらしくて好きです。この本、近くの図書館で見つけて借りたんです。『かなりあやしい!?』は見当たらなかったなあ。
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2009、6、3読了
2009年6月 8日 16:20
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新・読書日記
2009_99
『カーヴの隅の本棚』 (鴻巣友希子、文藝春秋:2008、10、30)
レヴェル高すぎ!写真がきれい!(枚数は少ないけれど)
ワインと翻訳・文学が渾然一体となって、手強い!たった140ページ足らずの本なのに、読むのにとっても手間がかかった。
翻訳とは何か、魂から取り組まないといけない翻訳という仕事、またワインとのかかわりは・・・いろいろと考え考えながら読む本。
ちょうどこの本を読んでいるときに読んだ、日経夕刊の鹿島茂さん(フランス文学者)のコラムが「誤訳と口臭」というもの「私も翻訳者のはしくれなので・・・」で始まる内容の物が、ちょうどオーバーラップして、興味深かった(2009年5月26日夕刊)
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2009、5、26読了
2009年6月 8日 16:12
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新・読書日記
2009_98
『テレビ見たまま 公共放送はいま~"NHK問題が問いかけるもの"』 (山本明夫、鉱脈社:2008、10、7)
去年秋に、新聞用語懇談会の総会で宮崎に行った時に、空港の売店の地元の本のコーナーで見つけた一冊。著者は、驚いたことにその前年まで新聞用語懇談会の委員の一人だったNHKの山本明夫氏。NHKを退職されて、宮崎公立大学の教授になっているらしいのだ。その、たぶん授業で使うテキストなんだろうな。記念に購入。
ちょうど、当時世間を騒がせていたNHKの問題について、前半はかなりのページを割いている。これ、教科書なの?後半はマスコミ全般の話も出てきて、教科書らしくなる。
山本さん、お元気でご活躍のようで、ご同慶のいたりである。
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2009、5、26読了
2009年6月 8日 16:06
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新・読書日記
2009_97
『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』(町山智浩、文藝春秋:2008、10、10第1刷・2008、12、15第5刷)
衝撃的なタイトル(ちょっと長いけど)!小6の息子がこの本のタイトルを見て、
「ほんま?アメリカ人って、アホなんちゃう?」
と、のたまった。まあ、全員がそうというわけと、ちゃうけどな。
18歳から34歳のアメリカ人で新聞を読むのは3割に満たないとか、ネットで時事ニュースをチェックする人は11%
・・・まあ、日本も似たような感じはあるけど。某X局(TV局です)の新入社員に「X新聞を取っている人は手を挙げて!」と聞くと、なんと、一人も取っていなかったというオソロシイ話を、つい最近聞きました。
「自分たちの国が日本に原爆を投下したことを知っているアメリカ人」は、49%しかいないそうです・・・。また、ブッシュ大統領が再選された理由の一つは、「アメリカ人の無知」によるというが、ひるがえって日本の総理は・・・・?。
それにしても背筋が寒くなるアメリカの実態が赤裸々に記された本。勉強になった。
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2009、5、26読了
2009年6月 1日 16:03
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新・読書日記
2009_96
『「この人、痴漢!」と言われたら~冤罪はある日突然あなたを襲う』
タイトルはキャッチーなように痴漢を取り上げてはいるが、内容はどちらかというと、サブタイトルの冤罪の実例・歴史のテキストという感じで、お手軽で軽いタイトルには似付かわしくない、しっかりした内容だ。
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2009、5、21裁判員制度開始の日の午前2時半に読了
2009年6月 1日 15:58
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