新・読書日記 2009_56
『ありふれた思い出なんてないさ』(沢野ひとし、新風舎:2007、5、15)
つぶれてしまった新風舎から出ている本。以前、新風舎の編集の方が、送ってくださった。なかなか読めずにいたのだが、週末にふと手に取り読み出したら、惹き込まれた。著者の「へたうま」風のイラストは、椎名誠の小説のイラストで見知っていたが、エッセイをちゃんと読んだことはなかった。なんと言うのかなあ、切なさというか、孤独というか、わびしさというか、でも、そこはかとなく感じられる「生きる」ということの喜びと悲しさ。それが、文体からもまたその絵からもあふれ出ているのである。いい本だ。
まず絵を全部見てから、エッセイの方を読み出した。
「人生って・・・」
なんて言葉を、がらにもなくつぶやいてしまいそうな一冊だ。
「犬はネコと違って常に愛想を振りまき、」(154ページ)
「クロは娘の顔を見ている間、しっぽを振って愛嬌を振りまいていた。」(166ページ)これは「愛嬌を振りまく」が正しいですね。って、そんなこと、どうでもいいよ!
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