新・ことば事情
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『BLUE GIANT SUPREME9』(石塚真一、小学館:2019、11、4)
「第10巻」を読んで、「第9巻」を読んでいないことに気付いて購入。そうそう、この巻、大事!なぜって、舞台は(私が大好きな)スペインのバスク地方はビルバオ!5年前に行った!あの「グッゲンハイム美術館」が出て来るんですよ!
そのビルバオで初めてのレコーディングを行う主人公・大たち。エキサイティング!
そして、欧州ツアー・ファナルは、スタートの地・ドイツはベルリン。
最初のライブは大失敗だった。それを、同じ店のステージで汚名返上・名誉挽回をするためにチャレンジ!泣けるなあ・・・。
うがい薬の箱に、こう記されていました。
「ウイルスまで殺菌」
これに引っかかりました。というのは、
「殺菌」
というのは、
「細菌・ばい菌を殺すこと」
ですね。それなのに、
「生物ではない『ウイルス』を『殺す』」
という意味の「殺菌」という表現で良いのでしょうか?
「比ゆ的表現」
と解釈すべきか?それとも、
「消毒」
と直すべきでしょうか?「殺菌」も、目的は「消毒」ですが。
気になって、夜も眠れません。(懐かしい!)
『重版出来14』(松田奈緒子、小学館:2020、2、12第1刷)
「重版出来」の「出来」は「しゅったい」と読む。
主人公である漫画雑誌の女性編集者が、自分が初めて担当してブレークした作家(漫画家)の担当を外される。作家が精神的な病に陥ってしまったのだ。
いつも明るい編集者だが、さすがに落ち込む。
どう立ち直って行くのか?作家も、編集者も。注目である。
『訳詩集 月下の一群』(堀口大學、岩波文庫:2013、5、16第1刷・2017、4、26第3刷)
この詩集が最初に出版されたのは、1925年(大正14年)9月17日。フランスの近代詩人66人の作品・339編を収容して、第一書房から初版1200部、「定価4円80銭」で売り出された。当時の「4円80銭」は「破格の値段」(=高い)だそうだから、いまだと・・・「4万8000円」ぐらいかな?想像だけど。一応、昔の物価などを調べてみたら、
【1925年(大正14年)の物価】
白米(10kg) 3円20銭
給料(大卒初任給) 50円
金(1g) 1円73銭
ということです。
【今(2020年)は大体...】
白米(10kg) 3500円(1100倍)
給料(大卒初任給) 20万円(4000倍)
金(1g) 6400円(3700倍)
ですから、この3つから見るおおよその物価は、
「1000~4000倍」
になっているでしょう。そうするとこの詩集「月下の一群」(4円80銭)の現在におけるお値段は、
「4800円~1万9200円」
と、やはり、かなり高いですなあ。豪華本だとしても。
この詩集からの詩・5編に曲を付けた南弘明作曲の男声合唱曲『月下の一群』を、大学2年のときに歌い、東芝EMI(当時)で録音(レコーディング)もした。40年近く経って、今年秋に同志社グリーOBの皆さんと一緒にまた歌うことになり、「詩集」全体を初めて読もうと、この文庫本を手にした。文庫だけど、650ページもあるんですよ、これ!すごいなあ!
実際に歌った曲の歌詞が、この詩集の詩と、微妙に変わっているところも見つけました。
それと、詩人の似顔絵というかデッサンというかも載っているんですね。66人全員ではないですが。そのほか
「十法」
と書いて「法」は、
「フラン」
と読むのは知りませんでした。
そして、この詩集は「親友」の「佐藤春夫」に捧げられているのも知らなかったし、堀口大學が外交官の息子で、一高受験に失敗した後、慶應義塾大学に入ったものの、すぐに中退して父の赴任先のメキシコへ行ったというのも初めて知りました。33歳で1925年に帰国するまでの14年間のほとんどを海外で暮らし、ブラジルやベルギーにもいた。もちろんフランスにも。父の後妻はベルギー人で、礼儀作法に厳しかったと。ベルギーなんかは「月光とピエロ」の舞台なのではないかなあ。あ、これも「男声合唱曲」ですが。「高等遊民」だったんですね、大學は。
本格的に帰国する前の1923年の夏に一時帰国した際の9月1日、「関東大震災」に遭遇。東京・大森のホテルに佐藤春夫と一緒にいたそうです。この「月下の一群」の出版は、その2年後の1925年です。そういえば寺田寅彦は、関東大震災の日は、上野の美術館に「院展」を見に行った帰りに、カフェーでその感想を話し合っていた時に被災したと書かれたのを読んだことがありますが。
いろいろと新しい発見があった詩集でした。
『Jリーグ全選手名鑑完全ガイド2020』(日刊スポーツマガジン:2020、2、14)
一番「字が大きい」のを選ぶと、この「日刊スポーツの」になる。去年と同じ。
そしてヴィッセル神戸のイニエスタ選手の年俸が、ことしも、
「32億5000万円」!!
1年で、ですよ!スゴイなあ・・・って去年も書いたかな。
新型コロナウイルスの影響でJリーグも、開幕した途端に中断してしまい、ワールドカップの予選も中止の方向。この閉塞感・・・一日も早く解決してほしいです!
そして、この名鑑を持って、Jリーグを観戦したい!
『東京あんこ巡り』(川田裕美、KADOKAWA:2020、2、27)
知らない間に、川田の「あんこ本」の第2弾が出ていた!
雑誌で連載をしていたものをまとめたというのですが、カラー写真が豊富で、
「これはもしかして、田中みな実に対抗して写真集を出したのか?」
と思いましたが、そうではないようです(笑)。その辺は、ちゃんと自覚があるでしょう、本人も。
でも、本当にすごいですねー。取材のために訪れた店も、いくつかはあるみたいですが、ほとんどは「プライベート」で訪ねているのですから!まさに、
「好きこそ、ものの上手なれ!」
ですね。極めている感じ。私も「おいしそう!今度このお店に行ってみようかな?」と思いました。
「あんこ愛」溢れる一冊、ぜひ手に取ってお買い求めください!(販売促進に、ちょっと協力!)
令和ことば事情7356「『パンデミック』のアクセント」と
令和ことば事情7380「『パンデミック』のアクセント2」
令和ことば事情7381「『パンデミック』のアクセント3」の続報です。
3月12日夜の日本テレビ「news zero」では、メインキャスターの有働由美子アナウンサーが「頭高アクセント」で、
「パ\ンデミック」
と言っていました。
その後に出て来たゲストの順天堂大学・堀賢教授も「頭高アクセント」の
「パ\ンデミック」
と言っていたので、たぶん有働さんは堀教授と打ち合わせをした際に、堀教授が「頭高アクセント」で話していたので、それに合わせたんじゃないですかね?
翌日・・・ってきょうですが、3月13日のお昼の日本テレビ「ストレイトニュース」では後藤春菜アナウンサーが、
「パ/ンデ\ミック」
という「中高アクセント」で読んでいました。
きょうの報告、終わり!
去年の秋に、辛坊さん達とご飯を食べに行った際に出て来たメニューの一つに、
「ヤイトガツオ」
という魚がありました。「カツオ」は知っていましたが、この「ヤイトガツオ」というのは知りませんでした。この、
「ヤイト」
というのは、
「お灸」
のことですよね。
「ヤイトを据える」
と言いますからね。しかしこれは「お灸」の「関西弁」なのか?それとも「標準語」なのか?ということも話題に挙がりました。
家に帰って調べると、一応「標準語」のようでした。
また、この「ヤイトガツオ」というのは、
「ヤイトを据えたような黒く丸い痕が並んでいるのが特徴のカツオ」
だということでした。この魚の名前を付けたころには、「ヤイト」が一般的なモノだったのでしょうね。食べるとおいしかったです、「ヤイトガツオ」。
「新型コロナウイルス」の感染の恐れがある人は、
「公共交通機関を使わずに医療機関に行きなさい」
と、政府は言います。また「3月9日午前0時以降」に中国・韓国から日本に入国する人は、何国人かを問わず、
「自宅か滞在先(ホテル)で2週間、缶詰め状態」
を要請され、そこにたどり着くのにも、
「公共交通機関は使わないように」
と言われています。この際に、
「タクシーもダメ」
と書かれているのを見て、
「そりゃあ、タクシーは閉鎖空間だから、運転手さんにうつる恐れがあるもんなあ」
と一旦、納得したものの、
「じゃあ、自家用車でしか行けないということ?自家用車のない人は、どうすればいいの?」
という疑問と、
「タクシーは『公共交通機関』なのか?」
という疑問が出てきました。
実際に、3月9日に関西国際空港に到着した韓国からの留学生は、
「そうは言っても、全面禁止だとは、思わなかった」
ために、宿泊先へ向かう「足」がなく、そういう事態を予想して関西空港に待機していた、「韓国領事館の職員の車」で送ってもらうという事態になっています。
この「タクシーは『公共交通機関』なのか?」について調べてみました。すると、
2014年4月に書かれた加藤博和・名古屋大学准教授(当時)の論文、
「公共交通として位置づけられたタクシーが果たすべき社会的役割」
というものが出て来ました、その冒頭に、
「タクシーは日本において、バスや鉄道と違い公共交通機関という認識はなされてこなかった。しかし、2002年の規制緩和後に生じた供給過剰や運賃低下を適正化する必要に迫られ、そのための立法において、はじめて公共交通と位置づけられた。そのため『タクシーが公共交通として何を提供するべきか』についての事業者や自治体の意識は高くない状況にある」
と記されていました。そうなんですよね、「タクシー」は「鉄道」「バス」と違うイメージがあります。しかし今回の「新型コロナウイルス」を巡る騒動では、
「タクシーも公共交通機関である」
ということが再認識されたのではないでしょうか。そして同時に、
「公共交通機関を使わないで、どうやって移動すればいいのか?」
という疑問が、おそらく高齢者を中心に生まれたのではないでしょうかね?
だって、一方で、
「高齢者の運転は危ない」「免許は返上すべきだ」
と言われて、その一方で今回のようなケースでは、
「公共交通機関は使うな」
だと、
「動くな!」
と言われているようなもの。そういった人たちに対して、国や自治体がどう対応するのか?が問われているとも言えるのですね。
東日本大震災斎から丸9年。
3月11日の夜7時のニュースで、NHKの高井アナウンサーが、福島第一原発の5号機の中に入って取材・リポートしていました。その際に
「燃料デブリ」
のことを略して、
「デ/ブリ」
と「平板アクセント」で話していました。
しかしこれは「頭高アクセント」で、
「デ\ブリ」
ではないでしょうか?
その言葉をよく使う人たちによる「専門家アクセント」で、原発関連の仕事の人たちは、もしかしたら「平板アクセント」なのかもしれませんが。しかし「デ/ブリ」という「平板アクセント」では、何だか、
「出振り」
という漢字を当てはめたくなってしまいます。もしくは「太ること」を指して、
「デブり」
ですかね。
もともとは「フランス語」で、それを見るとやはり「アクセント記号」が、
「de(デ)の『e』の上」
についています。
『NHK日本語発音アクセント新辞典』には、この言葉は載っていませんでした。