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ストーリー

第9話
9月8日(木)よる11:59

  ある日の柿崎真一(三上博史)は小犬を拾った。その柿崎を「あなた、犬ドロボーね!?」と追ってくる服部和子(福島マリコ)が言う。「返しなさい!その犬は2億円を相続しているのよ」

  その小犬はサブローと言い、野比康介(山崎樹範)の犬だった。柿崎の事務所に、康介が呼ばれて来る。「あなた、サブローを捨てたのね!?」と和子が康介を責めると、「勝手にうちから逃げ出したんだ」と、苛立つ康介は、肺癌で亡くなった兄の野比謙太(小椋毅)から“サブローが亡くなるまで面倒を見ること”を条件に2億円の遺産を相続したのだった。「負担付死因贈与契約ってやつですね」と柿崎。「その契約の監視役が私よ。きちんと飼育がされてないと私が判断すれば、相続は無効になるの」と和子。丸井華(森川葵)が「もし康介さんがきちんと飼育しない場合は、遺産は誰のものに?」と尋ねると、「飼育してくれる人です」と、和子は自分のものになることを主張する。「大体あなたは兄とどういう関係なんです?」と康介。「ペットショップの店員とお客で、それ以上でもそれ以下でもありません」と和子。康介は、柿崎に「あなた、遺産相続の弁護士なんですよね。なんとかなりませんか?」と言うが、「残念ながら、サブローが亡くなりでもしない限りどうにもなりません。どうぞお引き取りを」と柿崎。

  康介らが去った後、河原井正(豊原功補)が来て、「なぜ犬を拾ってやったのに謝礼をもらわないんだ?」と呆れる。「確かに!2億の遺失物なら、報労金は最低でも1千万!」と華。「相手は生き物ですよ」と渋る柿崎に、「なら俺が全額もらう」と河原井が康介の元へ行く。デイトレーダーの康介は、「報労金1千万?いいですよ。犬を始末してくれたら2千万払います」と言う。それを引き受け、サブローとともに去っていく河原井だったが、康介は、警察に「ペットを盗まれました」と通報する。

  山本刑事(樋渡真司)と木村巡査(胡蝶英治)が出動する。山本刑事は柿崎のもとに「河原井はどこだ!おまえらグルになって2億の犬を誘拐しただろう」と駆けつける。だが逆に「犬を拾って届けたんだから、1千万の報労金を回収してきて下さい」と言う柿崎。その頃、河原井はサブローといた。サブローをじっと見つめる河原井。そこへ駆けつけた木村巡査が「誘拐犯だな!」と威嚇射撃する。委縮するサブロー。「バカやろ!こいつ、やっとウンチがでそうだったのに、なにビックリさせてんだ!」と河原井。サブローは木村に唸り、逃げていった。「待て!」と追いかける河原井と木村。河原井は柿崎に連絡する。「警官の狙撃のせいで犬が逃げた?」と柿崎。華が山本刑事に「どうすんですか?警察で2億弁償ですよ?」と言う。山本刑事は慌てて、犬を探しに行く。柿崎、華も追いかける。「2億円の犬?」と話を聞きつけた水谷美樹(酒井若菜)やアオザイ(フィフィ)、サリー(マービンJr)もサブローを探す。

  河原井がようやくサブローを見つけ、柿崎の事務所に連れて帰った。甲斐甲斐しくサブローの世話をし、その愛らしさに和む一同。だがその夜、和子がこっそりサブローを連れ去った。サブローのいないことに気づいた柿崎たちは、「本当の誘拐事件になっちまった」と再びサブローを探すのだった。柿崎と河原井は、柿崎がサブローを拾った公園へ行く。「俺もここでサブローを見つけたんだ。ここに何かあるのかな」と河原井。柿崎と河原井は、公園にいた立花(沼田爆)に声をかけ、事情を聞く。その傍ら、河原井は、和子に1千万ほどの借金があることを掴むのだった。

  和子のペットショップを訪ねる柿崎、河原井、華。サブローは和子が隠していた。また、そこにあった康介と謙太の贈与契約書は、和子にとって都合のいいように改ざんされていた。「あの女、相当ですよ」と華。

  サブローを連れて康介を訪れる柿崎。柿崎は、康介が河原井を利用して、サブローを殺そうとしたことを指摘した。「何が目的だ、例の報労金か?」と康介。「あなたのお兄さんは普通のサラリーマンでした。31歳までに2億貯めるのは無理ですよね。あの金は、あなたがお兄さん名義の口座で運用したデイトレードのお金ですね。外為法違反、脱税……結構な罪だ」と柿崎。「そうだ、あの金は俺が運用して作った金だ。だから俺のものなんだよ」と康介。金しか信用できない康介は、もともと謙太と疎遠だったが、その金を巡ってますます疎遠になったと言う。「俺にはあの金がいるんだ。それをあの女が余計なことを…」と康介。その時、康介の電話が鳴る。和子からだった。「1億持って来て。そうじゃないとあんたのやったこと警察にバラす」と和子。

  指定された公園に行く康介。追いかける柿崎とサブロー。それはサブローを拾った公園だった。物陰から和子、河原井、華が出て来る。「全部バレバレだってさ」と和子。柿崎たちが、和子を使って康介を呼び出したのだった。そこに立花も来る。「園長先生…」と康介。そこは20年前、両親を失った謙太と康介が入所した施設の跡地だった。当時の園長だった立花が言う。「施設を移転する時、謙太がこの木だけは残してほしいって。この木だけ残して公園になったんだ」と立花。その木にまとわりつくサブロー。康介に、幼い頃、謙太と飼い犬のイチローとその木で遊んだ記憶がよみがえる。「サブローは、そのイチローの孫だそうです」と柿崎。「え?」康介は、入所してすぐ里親に引き取られた。康介は謙太と一緒にいたかったのだが、謙太が、優しく裕福な里親を見て、「行け」と突き放したのだった。だが康介はその後、何度も施設に逃げ帰る。寂しいからイチローを連れていきたいとも言ったが、謙太が拒否した。謙太も寂しかったのだ。また、康介への嫉妬もあった。「謙太さんはずっと謝りたかったんだと思います。家族でもあったイチローをあなたから奪ったことを。だからサブローをあなたに託した。そしていつか、自分も血を分けた家族であったことを思い出してほしい。それが彼のラストリクエストです」と柿崎。康介はサブローを大事に抱えて去っていった。無事、手数料を受け取ることになった柿崎たち。だが、サブローがいなくなって、どこか寂し気な河原井。それを冷やかす柿崎や華で……。

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